GRを使い始めて感じたのは、「建物がじつに美しく撮れる」ということ。
画に歪みが少ないため建物の直線がビシッと決まるのは確かですが、ただそれだけじゃないんですよね。GRには、コンクリートやガラス、タイル、ステンレスといった色々な建築材料の質感とその組み合わせ&デザインから生まれる、それぞれの建物がまとっている空気のようなものを捉えて描き出す感覚があります。
マレーシアのオフィス街というのは画一的で単純な箱型のビルは少なく、結構凝ったデザインの建物があちこちに見られます。悪く言えばデザインに統一性はない、よく言えばとても個性豊かで、ある意味ではマレーシア人の縮図みたいなもんですね。その中で世界的にも特に有名なのが、ペトロナス・ツインタワーです。
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見えているのはスリアKLCCの正面玄関。KLど真ん中のショッピングモールなのにほぼ無人に見えますが、実はこれでも平日の昼12時すぎ。人通りが途切れた一瞬でした。年が明け、ほぼ解体されて骨組みだけが残っている巨大クリスマスツリーも、ゴーストタウンのような奇妙な静けさをより強く感じさせます。
晴れた日には、ツインタワー外装に使われているステンレスが太陽を反射するギラギラ感がたまりません。それにしても、GRの白黒は、青い(黒い)空と白い雲の描き方がほんとキレイですね。
GR IIIx 最大の71㎜クロップでツインタワーの最上部を切り取り。ここまでくると雲の表情がまたガラリと変わります。粒状感もいいですね。ツインタワーはパッと見た印象以上に高さがあるので、これだけ寄ると肉眼で見るより相当近くに感じます。ステンレス外壁の細かい造形など、かなりパキパキの解像です。
これはツインタワーの隣に立つ74階建て某外資系高級ホテル。規則的に並んだガラスで覆われた外壁がどこまでも空に向かって伸びていく様子を、ハイコントラスト白黒&ハイライト重点測光で撮影しました。Hi-BWだけに陰になった左半分は漆黒ですが、太陽が当たっている側は一番上まで潰れず暗い中にもディテールをしっかり描き出しています。建物が空の階調に溶け込んでいくように見えますが、完全には溶け切ってしまわないところが◎。
いやぁ、GRで撮る白黒はほんと面白いですね。でもGRレンズが描く色味とイメージコントロールのエフェクトも素晴らしいので、GRで白黒オンリーにはならないぞと自分に言い聞かせています。