NHK「中井貴一のサラメシ:沖縄のコーヒー農園で奮闘中の父と息子を支える、母手作りのまかないランチ」で、本記事でも取り上げている又吉コーヒー園が特集されました。(※又吉コーヒー園の情報は、この記事の「沖縄のコーヒー農園情報」で扱われています)
日本にもコーヒー農園があった
「コーヒー生産国」と聞くと、どんな国名が思い浮かびますか?
南米のブラジルやコロンビア、アフリカならケニアやタンザニア、さらには東南アジアだとインドネシアやベトナムといったところでしょうか。これらはすべて、コーヒーの栽培可能な地域、通称コーヒーベルト*に位置しています。
こう聞くと日本は完全にコーヒーベルトから外れているように感じますが、この範囲からほんの少しだけ外側にあたる地域があります。
それが、北緯26度に位置する沖縄です。
(※ 北緯20度~27度に位置する小笠原諸島でもコーヒーが生産されていますが、今回は沖縄にフォーカスしています。)
沖縄のコーヒーの歴史
沖縄にコーヒーの木が入ってきたのは、約90年近く前に研究用に持ち込まれたものが最初だと言われています。そして約40年ほど前、農学の専門で地元の農林高校で教員をしていた和宇慶 朝伝 (わうけ ちょうでん) さんにより、沖縄における本格的な国産コーヒーの生産栽培が始まりました(*1)。現在では、山原 (やんばる) エリアなどを中心に複数のコーヒー農園が商業生産を行っています。
ちなみに沖縄で主に栽培されているのは、ブラジルから持ち込まれた「ムンド・ノーボ」という品種 (沖縄ではそれを英語にした「ニューワールド」という名前で呼ばれている) です。
では沖縄はコーヒー栽培に非常に適した気候なのかというと、決してそうではありません。
沖縄は南国というイメージがありますが、時には気温がグッと下がることもあります。確かに平均気温を見る限りでは1月や2月でも17度ぐらいはありますが、2016年1月に大寒波が到来した際にはなんと最低気温が3.1度まで下がり、沖縄で観測史上初のみぞれが降るほどでした。ここまで気温が下がることは滅多にないとはいえ、沖縄でのコーヒー栽培には冬の時期の北風にできるだけ当てないなどの低温対策が必要となります。
また、毎年のように襲ってくる台風も大きな障害となっています。台風の直撃によって、せっかく順調に生育したコーヒーの木が倒れたり飛ばされたりして大きな被害を受けることがありますし、強い風で飛ばされてきた海水がコーヒーの木に付着したままだと塩分により葉焼けを起こすこともあります。農園が台風により一旦甚大なダメージを受けると、再び以前のようにコーヒーを生産できるようになるまでに数年はかかると言われており、台風による被害というのは農園にとっては死活問題となりかねません。
このように、天候リスクやその対策にかかる手間などを考えると、沖縄における国産コーヒーの生産は決して簡単なことではないのです。
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沖縄のコーヒー農園情報
そんな沖縄にあるコーヒー農園の幾つかをご紹介します。
又吉コーヒー園 (Matayoshi Coffee Farm)
住所: 沖縄県国頭郡東村慶佐次718-28
電話: 0980-43-2838
メール: contact@matayoshicoffee.jp
営業時間: 9am ~ 5:30pm
メモ: 広大な敷地にコテージやキャンプ場もある、2016年にオープンした滞在型コーヒー農園リゾート。「品質・味ともに優れた安心・安全な “OKINAWA” ブランド・国産有機コーヒー豆を世界に届ける」が目標の当ファーム。現在栽培中のコーヒーが店頭で味わえるようになるのは2018年以降の予定。コーヒーの収穫や焙煎など、様々な体験プログラムも用意されている (要予約)。ちなみに宿泊施設のコテージは全室オーシャンビュー、キャンプもテントがレンタル可能。満点の星空や美しい朝日など、やんばるの大自然が存分に味わえると評判。
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ヒロ・コーヒーファーム (Hiro Coffee Farm)
住所: 沖縄県国頭郡東村高江85-25
電話: 0980-43-2126
営業時間: 12pm ~ 5:30pm
定休: 不定休
メモ: 当地で20数年にわたりコーヒー農園を営み、沖縄産コーヒーではとてもよく名の知られたファーム。まるでブラジルかハワイあたりのコーヒー農園にいるのかと錯覚しそうな、ポップでカラフルな南国情緒あふれるカフェが訪問客を出迎えてくれる。犬やニワトリが歩き回る自然に囲まれた手作りのぬくもりを感じるカフェで、沖縄の気持ちのいい風に吹かれながら美味しいコーヒーを楽しめる時間を求めて、県内外から多くの訪問客が訪れる。
農業生産法人 アダ・ファーム
住所: 沖縄県国頭郡国頭村安田1285-92
メモ: 管理の行き届いた有機農法で、周りの自然や生態系と共生する農園づくりを目指している。2016年1月にはJASオーガニックの認定を取得。現在、農園の一般開放はしていないが、今後オープンデーなどのイベントを通して見学してもらえる機会を作りたいとのこと。
[参考資料]
*1 沖縄コーヒーアイランド. “国産コーヒーの歴史”. URL: http://coffee.okinawa/?page_id=16 (参照日:2017年11月20日)
(2017年11月22日:内容修正)
(2017年11月28日:画像追加、タイトル修正)
(2018年5月9日:テキスト追加、レイアウト修正)
(2020年3月12日:リンク追加)
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