コーヒーの品種ノートです。
カトゥアイ (Catuai)
由来: | カトゥーラとムンドノーボの人工交配種 |
豆のサイズ: | 平均的 |
収穫量: | やや少ない |
風味の質: | 良い |
初回収穫: | 3年目 |
さび病: | 耐性なし |
炭疽病: | 耐性低い |
線虫: | 耐性低い |
栽培適正標高: | 北緯5度~南緯5度:1,600m以上 北緯/南緯5度~15度:1,300m以上 北緯/南緯15度以上:1,000m以上 |
カトゥアイの歴史
カトゥアイ (「カツアイ」と呼ばれることもある) は、ブラジル・サンパウロ州のカンピーナス農業試験場 (IAC) により、カトゥーラとムンドノーボの人工的な交配で作られた品種です。最初に交配が行われたのは1949年ですが、そこから何度も優良種の選別が繰り返され、最終的に栽培用として配布されるようになったのは約20年あまり後の1972年でした。
1950年代からブラジルを中心に栽培が始まったムンドノーボは、風味特性の良さと収穫量の多さという点では優れていたものの、非常に高くなる樹高が生産者の作業における大きな負担となっていました。そこで、矮小種であるカトゥーラと交配することにより、樹高を抑えた上でムンドノーボの特長も残した品種の開発が進められました。結果、ほぼ狙い通りの特徴を備えることになったカトゥアイは、各地で広く栽培されるようになります。
1970年代にはブラジルやグアテマラで、そして1980年代にはホンジュラスやコスタリカでも商業生産が始まりました。とりわけホンジュラスでは、カトゥアイがアラビカ豆の生産量の約50%を占めるまでになっています。
また、ここ近年カトゥアイの評価が非常に高くなってきているのも注目できる点です。2019年にはブラジルのCOE (カップ・オブ・エクセレンス) であのゲイシャを抑えて最高点を獲得したのがイエロー・カトゥアイだったことからも、この品種が持つポテンシャルがうかがえます。(参考―Alliance for Coffee Excellence: “Brazil 2019“)
商業的には成功したと言えるカトゥアイですが、親であるカトゥーラからそのコンパクトなサイズだけでなく、非常に低いさび病への耐性などいわゆる負の遺伝的特徴も引き継いでいます。必ずしも長所だけを受け継ぐわけではないのが交配の難しいところでしょう。
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[参考資料]
World Coffee Research (2016) 「COFFEE VARIETIES of Mesoamerica and the Caribbean」, URL: https://worldcoffeeresearch.org/media/documents/Coffee_Varieties_of_Mesoamerica_and_the_Caribbean_20160609.pdf (参照日:2018年3月15日)