投票のため金・土が公式の休日に
先日の記事「【マレーシア】総選挙(GE15)の時期に注意したいこと」でも書いたように、今週末の2022年11月19日に4年ぶりの総選挙 (GE15) の投票日を迎えます。
セランゴール州など3つの州は、有権者が自分の選挙権が登録されている土地への移動がしやすいよう、投票日前日&当日の金・土を州の休日にすると一足早く宣言していましたが、11月14日になって両日を全国で臨時の休日にすることをイスマイル・サブリ首相が宣言しました。(参考:FMT: “PM declares public holiday on Friday, Saturday“)
インターナショナルスクールなどコミュニティーの大部分がマレーシア人以外の教育機関では、特例として学校をオープンできるよう教育省に要望を送ったところもあったようですが、今回の休日に関してはオンライン学習も含めて一切の学校活動が認められないとのこと。
ちなみに、この期間中は高速道路の多くが無料になるため、選挙に関係なく帰省する人も増えそうです。ここで心配になってくるのが、新型コロナの感染拡大への影響です。
新型コロナの拡大に拍車か?
実は、2020年9月に東マレーシアのサバ州で選挙が実施された際、投票のため全国からサバ州の有権者が集まった中で選挙活動や投票所での接触を通して感染が拡大し、選挙後各地へ戻った有権者によりマレーシア全土で感染が急拡大→2度目のロックダウンにつながった、という苦い経験があります。(参考:The Straits Times: “Malaysia’s PM Muhyiddin admits Sabah state polls in Sept caused current Covid-19 wave“)
マレーシアでは、2022年10月頃から明らかに感染が拡大局面に入っています。例えば、数日前のことですが、いつも予約でいっぱいの地元の人気レストランが週末なのに空いていたため店員に聞いたところ、「新型コロナにかかったからと予約キャンセルが沢山出てる」との返事。またKL市内のオフィスで働く友人からも「大量に感染者が出たため、オフィスビルの数フロアが数日間閉鎖された」との話が。
こうした生の声を聞くと、報道されている数字以上に感染が身近なところで拡大していることをヒシヒシと肌で感じます。そんな中、今この時期に総選挙で全国的に人の移動が急増すれば、感染拡大のスピードが加速するのは避けられないでしょう。新型コロナ対策として厳しい社会制限はもう行わない方向のマレーシア政府ですが、これから年末に向けて外食やショッピング、旅行などの消費活動が大幅に増える季節でもあり、状況次第では再び何らかの行動制限がかかる可能性もゼロだとは言い切れません。
新型コロナ対策という側面から見れば、今回の選挙は実にタイミングの悪い時期に実施されると言えます。
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選挙後も休日になる可能性?
現政権がこのまま続くことになれば何も起きないと思われますが、仮に政権交代という形になった場合、混乱を防ぐ意味でも選挙後の月曜が臨時の休日になる可能性があります。
2018年にマハティール元首相率いる野党連合が政権を奪取した際は、選挙結果が判明してから急遽翌日を休日にすると宣言。当時は、前政権の一部の過激な支持者が暴動などの混乱を引き起こす可能性や、マレーシア政治の大きな変化による金融市場の過剰反応を防ぐためにも休日が必要だったという分析もされていました。
今回も選挙の動向次第では何があるか確実なことは分からないため、在住邦人の方は地元のニュースや友人などからしっかりと情報収集しておいた方がよさそうです。