新型コロナ (COVID-19) 対策の一環として、2021年5月8日に当局が初めてのリストを公表した「HIDE」システム。色々な店舗やモールがリストに載っているものの、突然降ってわいたようなこの仕組みが一体何なのかいまいち分からず、「で、結局これは何なの??」と困惑している方も少なくないようです。
「HIDE」って何?
HIDEというのは「Hot-spot Identification for Dynamic Engagement」の頭文字から取られており、簡単に言えばホットスポット (感染源となる可能性のある場所) の早期警戒システムのようなものです。
現在マレーシアでは、接触履歴の追跡を目的としてどこに行っても「MySejahtera」アプリでQRコードをスキャンすることが義務付けられています。このビッグデータを活用してAI (人工知能) がホットスポットとなる可能性の高い場所を予測できるよう、マレーシア危機管理センター (CPRC) を中心に保健省 (MoH) と国立銀行のバンク・ネガラ (Bank Negara) が共同で開発した大規模データ分析システムが、この「HIDE」というわけです。
これまでのマレーシア国内での状況を見ると感染は比較的一部の場所を介して広がっているとのことで、そうした危険性の高い場所を割り出して重点的に規制することで感染拡大を効果的に抑える狙いがあるようです。
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「HIDE」リストの意味は?
HIDEによる分析の結果、今後7日間でクラスターが起きる可能性が高いとされた場所がリストとして公表されているとのこと。勘違いしてはいけないのが、リストに載っているのは現時点でクラスターが起きている場所ではないという点です。
当初の「よくある質問」では、「自分の店がリストに載った場合、店を閉めなければいけないのですか?」という質問に対して「いいえ、規制当局の指示がない限りその必要はありません」という回答が書かれていました。
ところが、
リストが出た当日夜には、政府が「リストに載った店舗や市場、モールはただちに3日間の営業停止」と発表。まあ、“当局の指示がない限り”という部分に偽りはありませんが、店舗側からすればたまったものではありません。(参考―THE EDGE: “Premises listed in ‘HIDE’ ordered to close for three days immediately, says Ismail Sabri”)
そもそも、警戒対象リストが出た時点で業界は猛反発。
「勝手にリスト作ってるけど、危険性が高いという判断のベースになっている具体的な数値もなしに店舗名だけ載せるなんて無茶だ」
「単純な入店記録だけでなく、人口密度や地域の感染割合なども含めて総合的に判断すべき」
「これでは、ろくに入店記録も取ってないような店はデータがないから逆に“安全”と判断される。まじめにやってる場所ほど損をするじゃないか」
などなど、HIDEの問題点を指摘する声が多数上がっています。店舗名がばっちり入ったリストが出ることで、単純に数日間の営業停止という以外に「あそこは危ない」というネガティブな印象がしばらく消えないのも確かでしょう。マレーシア・ショッピングモール協会など業界団体は、「今すぐHIDEリストの公表を中止すべきだ」と政府当局に訴えており、今後この点で当局に動きがあるかもしれません。(参考―THE EDGE: “Suspend HIDE information announcement immediately, shopping mall operators and retailers tell MOSTI“)
MCO 3.0 はまだまだ荒れそう
今回のMCOは規制内容が後出しでコロコロ変わっており、この先もSOPや移動制限など各分野で突然規制が変わることが予想されます。
これまではクラスターが出ない限り営業できていたショッピングモールも今回のHIDEリスト公表で営業停止が指示されたように、今後 日用品や食料品などの入手に影響が出る状況となる可能性もないとは言い切れません。万が一に備え自宅に数日分の水や食料を確保しておくと同時に、常にお住まいの地域の最新情報を入手して行動するようになさってください。
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