観察しやすい時間帯だったということもあり、「ブラッドムーン」として日本全国で注目された今年1月の皆既月食ですが、今年2回目となる皆既月食が2018年7月28日の明け方に日本各地で見られます。(北海道は部分食のみ)
前回の月食との違いは?
以前の記事でも書きましたが、日食と比べて月食は世界中の非常に広範囲で見ることができます。今回はヨーロッパ、アフリカ、中東、またアジア地域の国々において月食の始めから終わりまですべて、あるいはその大部分を観察できます。(ただしオーストラリア東部、ニュージーランド、パプアニューギニアでは部分食の一部のみ観察可。南米東部も同様) 北米から中米カリブ海諸島にかけての地域では、残念ながら今回の月食を見ることはできません。
月食は、特殊なメガネやフィルターを使わなくても肉眼で観察できるのが嬉しいポイントです。より細かい変化を観察したい場合は、双眼鏡や望遠鏡を使いましょう。スマホ用の外付け望遠レンズでも、肉眼よりさらに迫力のある姿が楽しめます。
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今年1月の月食では、日本全国で部分食→皆既食→部分食という流れのすべてを観察できましたが、今回の月食は部分食が始まるのが午前3時24分と明け方であることに加え、皆既食が始まった後に月の入りを迎えてしまうこと、さらに東京では午前4時45分頃 (大阪では午前5時5分頃) には日の出となり皆既食の途中から月が見えなくなる可能性が高いなど、条件的には前回の方がはるかに観察しやすかったと言えます。それでも、天気がよければ (かつ早朝に起きることができれば) この天体ショーを再び楽しむことができるでしょう。
ちなみにマレーシアの場合、半島マレーシア全域と東マレーシア (ボルネオ島) のサラワク州では前後の部分食も含めた皆既月食のすべて (月の入り後に終わる半影食*を除く) を、同じく東マレーシアのサバ州では皆既食を経た後の部分食の途中までをそれぞれ観察することができます。
*半影食とは、部分食が始まる前と後の段階で月表面に届く太陽光の一部を地球がさえぎった状態。地球が太陽を全部隠す状態になると本影と呼ばれる濃い影になる。流れとしては、半影食→部分食→皆既食→部分食→半影食となる。半影食では影に入った部分の月の明るさはわずかに下がる程度なので、注意して観察していないと気づかないことも多い。
何時ごろ見られるの?
月食は世界各地で同時刻に観察できる現象です。日本時間 (UTC+9) では月食の時間は次のようになります。
部分食の始まり:午前3時24分
皆既食の始まり:午前4時30分 (北海道以外で観察可)
食の最大 :午前5時21分 (九州・沖縄で観察可)
皆既食の終わり:月の入り後 (観察不可)
部分食の終わり:月の入り後 (観察不可)
マレーシア (UTC+8) では日本時間から1時間引いて計算し、次のようになります。
部分食の始まり:午前2時24分
皆既食の始まり:午前3時30分
食の最大 :午前4時21分
皆既食の終わり:午前5時13分
部分食の終わり:午前6時19分
今回を逃すと次の皆既月食は3年後
今回の月食は皆既食の時間自体は約1時間44分とかなり長いのですが、日本では残念ながら途中で月の入りを迎えるため、日本国内からそのすべてを観察することはできません。そのためか、国立天文台のウェブサイトでも一応特集として「皆既月食(2018年7月28日)」というページが設けられているものの、参加型の観察キャンペーンが大々的に行われた前回1月の月食時と比べると正直盛り上がりに欠けているという印象は否めません。
観察するにはベストとは言えない条件ですが、がんばって少し早起きすればりっぱな皆既食を見ることができる今回の月食。7月28日の早朝、できれば今年2回目となるこの貴重な天体ショーを楽しみたいものです。またマレーシア、タイ、インドネシアといった東南アジアの多くの国々では、日本とは違って月が地球の影に入って再び出てくるまでの全プロセスを今回も観察できます。特にマレーシアでは、前回の月食時にはKL (クアラルンプール) をはじめあいにくの悪天候で月の姿すら見られなかった地域も多かったため、ぜひ今回のチャンスを逃さないようにして下さいね。
ちなみに、日本で見ることのできる次回の皆既月食は3年後の2021年5月26日となっています。
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(2018年7月26日:テキスト修正)