在宅で仕事するならイス選びは大切
新型コロナウイルス (COVID-19) の感染拡大に伴い、世界中で在宅勤務、いわゆるテレワークが導入されるようになりました。そんな中、一日中家でパソコンに向かう生活サイクルになって多くの人が経験しているのが腰痛です。
元々自宅を仕事場として使っている作家やデザイナーといった職業は別として、自宅に快適なデスクチェアーのあるオフィス環境を持つ方はそれほど多くないはず。ダイニングテーブルやリビングのソファーで仕事をしている方も少なくないようです。しかし、短時間ならともかく毎日長時間パソコンに向かう仕事となると、どんな椅子に座っているかが仕事の効率 (&体調) にも大きく影響してきます。
マレーシア在住の筆者は、これまで現地ブランドの低価格なオフィスチェアーを使っていたものの、座っている時間が少し長くなるといつも腰と太ももに痛みを感じていました。結構長い間我慢しながら使っていたのですが、昨年ついに買い替えを決意。「やはりここはJAPANブランドでいこう!」と、当地でも KOKUYO International (Malaysia) として営業を展開しているコクヨのオフィスチェアーを買うことにしました。
購入したのは、オフィスチェアーとして基本のエントリーモデルであるその名も「ENTRY (エントリー)」。購入してから約1年使った上での感想をお伝えします。
「ENTRY」を選んだ理由
マレーシアではコクヨは基本的に BtoB で企業への納入を対象にしているため、個人客に同社の製品を販売するいわゆる小売の店舗がありません。通販でも買えますが、購入前に実際の座り心地をどうしても試したかったので、ミッドバレーの近くにあるコクヨのショールームに連絡して見せてもらうことに。
たった一つのイスを購入検討しているだけなのに、当日はわざわざ日本人スタッフの方が説明に来てくれて申し訳ないなと思いながらも、とりあえずショールームにあったオフィスチェアーは全部座った感じをチェック。その場でスタッフの方にも、「個人差があるため、高機能なモデルだったら100%どのお客様にも合うというわけではありません。やっぱり実際に座ってチェックされるのが一番です」と言われたので、ショールームに行ったのは正解でした。
個人的には座面が360度グリグリ動く「ing」というモデルの座り心地が気に入ったものの、当時は既に新型コロナの影響で日本からマレーシアへの流通も大きく影響を受けており、日本で製造している「ing」は残念ながらいつ入荷するか分からないとのこと。早く新しいイスにしたかったため、マレーシア国内で在庫があってすぐ納品できると言われた「ENTRY」を購入することにしました。
これは基本モデルだけに、ついている調整機構なども上位機種と比べると非常にシンプルです。しかし、色々座って試した時に「ENTRY」の座り心地が予想していたよりもはるかに良く「一番安いモデルでこのクオリティーだったら全然悪くない」と思っていたので、在庫の状況も影響したとはいえちゃんと納得して決めました。ヘッドレストや肘掛け、ベースの素材などオプションによって値段は変わりますが、肘掛けなし+樹脂製ベースであればマレーシアではRM800以下、日本だと約2万円から購入できます。
使ってみた感想
まず、背骨のS字を支えるランバーサポート (上写真参照) の効果はすぐに実感。エアバッグを組み込んだ上位機種よりも仕組みが簡単な樹脂ベルトだとはいえ、上下位置やサポートの強弱も調整できるので自分の体格や好みに合わせられます。もちろん、丸一日座っていれば普通の疲れはありますが、長時間座っていても腰への負担は格段に減りました。メッシュの背もたれだけでサポートのなかった前のオフィスチェアーとは天と地の差です。
また、たぶん座面のバランスの良さかクッション性の影響だと思いますが、「ENTRY」に替えてからは以前はすぐに痛くなっていた太もも裏の痛みもほとんど感じなくなりました。お尻を中心に体重をうまく分散させることで、座面の端に接する太ももに負担がかからないということじゃないかと思います。
加えて、優れたデザインも「ENTRY」の長所に挙げられます。ぱっと見て「いかにもコストを省いた」と感じるようなチープな部分が少なく、ベーシックモデルでありながら高い質感に仕上げていると感じました。使い始めて約1年経ちますが、目立った劣化や動きが悪くなるといった問題は今のところ全くありません。クッションやランバーサポートの具合も体感的には購入時とほとんど変わらないので、しっかりとした作りになっているんでしょう。
一方、長く使うにつれて「この機能がついていればいいのにな」と感じた点が一つあります。それは、リクライニングした状態で固定する機能です。
「ENTRY」では、背もたれ角度の固定は通常のポジションのみとなっており、リクライニングしたままではロックできません。もちろん、リクライニングの強度を調整して倒した状態で自然に止まるぐらい弱く設定するという手もありますが、そうすると普通に使っている時には弱すぎて座りづらくなります。強度の調整は座面裏のダイヤルで行う必要があるため、そもそもあまり頻繁に調整するようなものではなく、一旦自分に合わせて設定すればその状態で使い続けることが多いでしょう。なので、やはりリクライニング状態でのロック機能がついていれば (個人的に) 使用頻度は高いと思うのです。
ま、機能を削ったシンプルなモデルだからこそ高いクオリティーを保ちながらこの価格で販売されているわけで、製品に対する不満というよりも「あったらいいな」という欲ですね。
あと、購入時にフローリング用のキャスターをつけてもらったものの、ロックダウンの期間中は結局タイル張りのリビングが主な使用場所に。ところが、フローリング用のキャスターというのは表面が柔らかいため何日かするとホコリが付き、そのまま使い続けるとタイルにいっぱい黒い跡がついてしまいます。濡れた雑巾などでキャスターを掃除すればすぐに取れますが、やはりキャスターはちゃんと本来意図された床に合わせて使うのが一番だということでしょう。
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「ENTRY」はこんな人におすすめ
・新型コロナが終わればテレワークではなくなるので、オフィスチェアーにあまり高い投資はしたくない
・家族で共有するので、それほど高機能なモデルじゃなくていい
・いいオフィスチェアーを買いたいとは思っているものの、いきなり高価格なモデルには手が出しにくい
・すでに気に入ったオフィスチェアーは持っているが、別の部屋でサブとして使うために買いたい
価格が手頃ながらオフィスチェアーに求められる性能はしっかり織り込まれているコクヨ「ENTRY」は、上に挙げたような方には特におすすめのモデルだと思います。
まだまだ出口の見えない新型コロナ (COVID-19) のパンデミックですが、疲れが減る&作業効率が上がるオフィスチェアーへの出費は決して無駄な投資ではありません。出社日数が減って在宅でのリモートワークになった方は、腰を痛める前に体に合ったホームオフィス用のイス選びをぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
(2021年1月27日:テキスト追加・修正)