コーヒーの品種ノートです。
パライネマ (Parainema)
由来: | サルチモール (T-5296) の品種改良種 |
豆のサイズ: | 大きい |
収穫量: | 良好 |
風味の質: | 良い |
初回収穫: | 3年目 |
さび病 (CLR): | 耐性高い |
炭疽病 (CBD): | 耐性あり |
線虫: | 耐性高い |
栽培適正標高: | 北緯5度~南緯5度:1,000~1,600m 北緯/南緯5度~15度:700~1,300m 北緯/南緯15度以上:400~1,000m |
パライネマの歴史
パライネマはビジャサルチとティモール・ハイブリッドの交配種であるサルチモールの一種です。さび病に強いティモール・ハイブリッドの遺伝子を持つことから、パライネマもさび病への耐性があります。(詳細については、品種ノート「サルチモールとは?」をご参照ください)
サルチモールは1970年代に各国の研究機関で試験生産が行われていた品種ですが、コスタリカの熱帯農業研究教育センター (CATIE) で研究対象となっていたT-5296というカタログ番号を持つ品種をベースに、ホンジュラス・コーヒー研究所 (IHCAFE: Instituto Hondureño del Café) が選別を繰り返して1980年代に開発された品種がパライネマと名付けられました。さび病に加えて線虫に対しても高い耐性を備えている上、同一面積により多く栽培できる矮小種であることから収量も増やせる、という生産者にとってメリットのある品種となっています。
パライネマはその大部分がホンジュラスで生産されていますが、ニカラグアの一部でも使われている品種です。T-5296から選別により開発されたという意味では、基本的にブラジルのオバタなどと同じ系統の品種と言えます。ただ、世界的に見ても品種としては珍しい部類に入り、日本でその名前を見ることはあまりないでしょう。
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[参考資料]
World Coffee Research (2023) 「Arabica Varieties」, URL: https://cdn2.assets-servd.host/worldcoffee-research/production/pdf/World-Coffee-Research-Arabica-Varieties.pdf (参照日:2024年10月11日)