ブラジルでのコーヒーイベント情報です。
2018 World Brewers Cup (WBrC)
(2018年11月15日:追記)
決勝結果!!
優勝 Emi Fukahori (スイス)
2位 Regine Wai Yee Beng (マレーシア)
3位 Stathis Koremtas (ギリシャ)
4位 Liu Pang-Yu (台湾)
5位 Kaoru Kamiyama (日本)
6位 Yeo Qing He (シンガポール)
2018年のワールド・ブリューワーズカップを制したのは、スイス代表として参加した日本人の Emi Fukahori (深堀絵美) バリスタ。この大会におけるスイス代表として初めてのチャンピオンとなりました。ちなみに日本代表の上山薫バリスタも5位という素晴らしい成績で競技を終えています。
コーヒーの抽出における世界最高峰の知識とテクニックを見せてくれた約40名もの各国代表のバリスタの皆さん、お疲れさまでした!!
Contents
<イベントの概要>
2018年11月7日~9日にかけてブラジルで開催された「ブラジル・インターナショナル・コーヒーウィーク」 (Brazil International Coffee Week) において、2018 ワールド・ブリューワーズカップ (World Brewers Cup) が行われました。(大会公式サイトはこちら)
各国のブリューワーズカップ国内大会で優勝したチャンピオンたちが集い、世界一の抽出技術を競い合う最高峰の競技会がワールド・ブリューワーズカップ (WBrC) です。バリスタチャンピオンシップ (WBC) やラテアートチャンピオンシップ (WLAC) と比べると知名度はやや低いかもしれませんが、2011年から毎年世界大会が行われており、日本においても2014年から国内大会が開かれています。
競技の内容を簡単に説明すると、予選ラウンドでは必修サービスとオープンサービスの二つのカテゴリーで採点されます。まず必修サービスでは、大会側で用意した公式の焙煎豆を使って3つのドリンクを作ります。すべての競技者が同じ豆を使用するため、それぞれのバリスタの抽出技術がそのまま味の違いとなって評価されることとなります。そしてオープンサービスでは、競技者各自が自分で選んだ焙煎豆を使用し、さらにプレゼンテーションも評価の対象になります。そして決勝ラウンドではオープンサービスのみが行われ、ここでの採点に基づいて最終的な順位が決定します。競技のすべてにおいて、各競技者は好きな抽出器具を選ぶことができます (機械的動力を伴わないものに限る)。
世界トップレベルのバリスタたちがこうして競い合うことで、よりハイレベルな抽出技術がまた各国のカフェ業界にフィードバックされていくことは、コーヒーを楽しむ側の私たちとしても嬉しいですね。
2018 ワールド・ブリューワーズカップ (WBrC) ー注目バリスタ
No.1 [スイス代表] Emi Fukahori 深堀絵美 (MAME)
最終成績:優勝
2011年よりスイス在住で、2016年にはチューリッヒにカフェ「MAME」もオープンしている深堀バリスタ。2015年にはスイスの国内バリスタチャンピオンとなっており、同年のワールド・バリスタチャンピオンシップ (WBC) にも出場しています。2016年から2年連続で国内ブリューワーズカップ3位、そして2018年に国内優勝を決め世界大会へ出場の運びとなりました。大会へ向けて2016年ワールド・ブリューワーズカップ優勝者の粕谷哲バリスタをコーチにして対策・練習を重ね、見事初出場での優勝を勝ち取りました。
(粕谷バリスタのFacebookはこちら)
晴れて世界チャンピオンとなった深堀バリスタですが、実は自身のカフェの共同経営者またライフパートナーは今年のワールド・バリスタチャンピオンシップで3位となったスイス代表の Mathieu Theis バリスタ。カップルでどちらも世界大会トップレベルというのは素晴らしいことです。
元々は観光サービスを学ぶためにスイスに渡ったという深堀バリスタ。2014年に同年のスイス国内バリスタチャンピオンとなった Nina Rimpl さんが淹れたカプチーノの味に衝撃を受け、コーヒーのことをもっと知りたいという強い思いを持ったそう。それがターニングポイントとなって自身もバリスタの道を歩み、翌2015年にはバリスタチャンピオンシップの国内優勝、その3年後の 2018 ワールド・ブリューワーズカップ (WBrC) にて世界チャンピオンとなったという経歴の持ち主です。今大会でも、「他の競技者がどんなものを出してくるのか見るのが楽しみだし、またそこから学びたい」と語っていた同バリスタ。やはり好きなことを徹底して追及する熱意と探求心があるからこそ、短期間で世界トップの知識と技術を身につけられたんでしょうね。
深堀バリスタが好きな抽出法はハンドドリップ (プアオーバー)。コーヒーの個性が一番素直に出る淹れ方だからということです。ちなみにコーヒーで個人的に今イチオシの国は、ボリビアとコスタリカだとか。
No.2 [日本代表] 上山薫 Kaoru Kamiyama (丸山珈琲 Maruyama Coffee)
最終成績:決勝5位
3回目の出場となった2018年の国内ブリューワーズカップ (JBrC) において日本チャンピオンとなり、日本代表として初出場の世界大会で5位 (予選ラウンドでは2位通過) という素晴らしい成績を残した上山バリスタ。2005年から仕事としての経験を積んでいるベテランバリスタですが、4年前に丸山珈琲に入社しさらにコーヒーの抽出についてさらに深い知識と技術を学んだと語っています。今大会ではその成果がまさに集大成として発揮されたといえるでしょう。
同バリスタがおすすめの抽出法は、世界チャンピオンの粕谷バリスタが提唱する「4:6メソッド」。誰でも美味しくコーヒーを淹れられ、自身でも新しい豆を試す時にはまずこの抽出で淹れるといいます。ちなみに上山バリスタが好きなコーヒーはホンジュラスのものだそうです。
(「丸山珈琲 小諸店」の情報はこちら。上山バリスタのFacebookはこちら)
(2018年11月16日:追記)
明日11月17日(土)には、小諸店10周年記念イベントとして今回WBrCに出場した上山バリスタを含むそうそうたる講師によるセミナーが開催されます。詳しくは丸山珈琲ブログをご参照ください。
No.3 [マレーシア代表] Regine Wai Yee Beng (Page 2 Cafe)
最終成績:決勝2位
同時開催だった 2018 ワールド・ラテアートチャンピオンシップ (WLAC) で優勝を飾った Irvine Quek バリスタ に加えて、このワールド・ブリューワーズカップでも Regine バリスタが2位という快挙。2018年はマレーシアのバリスタが世界大会で大活躍していますね。
約4年前に会社員として働きながら週末のアルバイトでバリスタとして働き始めたことが契機となり、スペシャルティコーヒーの世界に興味を持つようになったという Regine バリスタ。そこからコーヒーを抽出する面白さにはまり、急速に知識とスキルを伸ばしてゆきます。2015年にはマレーシアの国内ブリューワーズカップで優勝。また2016年には国内サイフォニストチャンピオンシップでも優勝し、同年の世界大会 (WSC)で2位。翌年も連続出場し3位という成績を残しています。2018年に再び国内ブリューワーズカップでチャンピオンとなり、今大会でのワールド・ブリューワーズカップ (WBrC) 2位という素晴らしい結果となりました。そんな同バリスタが好きな抽出法はやはりサイフォン。しっかりとしたボディと風味が出る上、均一に抽出できるところが好みだそうです。
Regine バリスタは、今タイとベトナムのコーヒーに注目しているとのこと。当ブログでもタイのコーヒーについてはテイスティングノートでメインに扱っていますが、これらの国のとりわけ標高の高い農園では近年とても品質のよいコーヒーが生産されるようになっており、今後の展開に大きな期待が持てます。また同バリスタは今後コーヒーの焙煎も手がけていきたいと語っており、地元としてはそちらも楽しみです。
(「Page 2 Cafe」のFacebookはこちら)
↓世界チャンピオン 粕谷バリスタの「4:6メソッド」抽出を家庭でも
[参考資料]
Brazil World Coffee Championships, URL: https://www.worldcoffeeevents.org/brazil (参照日:2018年11月15日)
World Coffee Events, URL: https://www.worldcoffeeevents.org/competitors/ (参照日:2018年11月15日)
(2015年3月31日) ‘深堀絵美スイスの新バリスタ・チャンピオン’. 遥かなる遠い国々から, URL: http://2e85e3ce03.seesaa.net/archives/20150331-1.html (参照日:2018年11月15日)