ブラジルでのコーヒーイベント情報です。
2018 World Latte Art Championship (WLAC)
(2018年11月11日:追記)
決勝結果!!
優勝 Irvine Quek Siew Lhek (マレーシア)
2位 Michalis Karagiannis (ギリシャ)
3位 Liang Fan (中国)
4位 Shinsaku Fukayama (オーストラリア)
5位 Agnieszka Rojewska (ポーランド)
6位 Choi Wonjae (韓国)
2018年のワールド・ラテアートチャンピオンの栄光に輝いたのは、マレーシアの Irvine Quek バリスタ。マレーシア代表として世界レベルの大会で優勝した初めてのバリスタとなりました。
日本代表の林伸治バリスタは残念ながら予選敗退となりましたが、今回オーストラリア代表として出場した日本人の深山晋作バリスタが決勝ラウンド4位という素晴らしい成績を収めました。
ファイナリストはもちろん、素晴らしいラテアートテクニックを見せてくれたその他各国代表のすべてのバリスタの皆さん、お疲れさまでした!!
<イベントの概要>
2018年11月7日~9日にかけてブラジルで開催された「ブラジル・インターナショナル・コーヒーウィーク」 (Brazil International Coffee Week) において、2018 ワールド・ラテアートチャンピオンシップ (World Latte Art Championship) が行われました。(大会公式サイトはこちら)
各国の国内競技会で優勝したラテアートチャンピオンたちが、世界一を目ざして競い合う 最高峰のラテアート競技会 がワールド・ラテアートチャンピオンシップ (WLAC) です。各国代表の約40名のバリスタがトップレベルの技術を駆使してぶつかり合い、完璧に抽出されたエスプレッソに滑らかなフォームドミルクを注ぐことで描く美しいラテアートの数々が披露されます。街のカフェでもハートやリーフ、チューリップといったデザインは楽しめるところがありますが、世界大会レベルのラテアートはもはや芸術の域と言える複雑で繊細なデザイン。
芸術性 (見た目の美しさ)、独創性、再現性 (全く同じデザインを描けるか)、コントラスト (絵柄がはっきりと出ているか) などを基準に審査するジャッジの前で繰り広げられるパフォーマンスは、バリスタ界の「アートの祭典」と言える見事なテクニックを観る者に味わわせてくれます。
2017年大会はハンガリーのブダペストで開催され、タイ代表の Arnon Thitiprasert バリスタが優勝しました。今大会でマレーシア代表の Irvine Quek バリスタが頂点に立ったことにより、2年連続で東南アジアからチャンピオンを輩出したことになります。この地域におけるカフェ文化が急速な発展を遂げている証拠と言えるでしょう。
2018 ワールド・ラテアートチャンピオンシップ (WLAC) ー注目バリスタ
No.1 [ポーランド代表] Agnieszka Rojewska
最終成績:決勝5位
2014年にポーランド国内のラテアートチャンピオンとなって以来、様々な競技会で活躍している熟練のバリスタ。2016年にはワールド・ラテアートチャンピオンシップ (WLAC) 5位、2017年には3位という素晴らしい成績を残しています。さらに2018年はバリスタチャンピオン&ラテアートチャンピオンの国内2冠となった上、6月にアムステルダムで行われたワールド・バリスタチャンピオンシップ (WBC) 2018 では見事優勝。残念ながら世界大会でのダブル優勝とはならなかったものの今大会では5位という結果を残し、その磨き抜かれた実力を再び世界に知らしめるパフォーマンスを見せてくれました。
コーヒーの道に入ったのは単なる偶然で「コーヒーに関わっていなければたぶんサッカー関係の仕事をしていただろう」と語っている Agnieszka バリスタ。どうすればラテアートが上手くなるのかコツについて聞かれると、「とにかく練習に練習を重ねること」。ちなみにこれまでラテアートを作った中で一番変わった“器”は「友だちの手の中」だそう。一体何度ぐらいのスチームミルクを注いだのか分かりませんが、きっとかなりの熱さに耐えられる手の持ち主だったんでしょうね。
(Agnieszka バリスタのFacebookはこちら。ツイッターはこちら)
No.2 [日本代表] 林伸治 Shinji Hayashi (DRIP&DROP COFFEE SUPPLY)
最終成績:予選31位
2月に開催された日本の国内ラテアートチャンピオンシップ (JLAC) において同大会4回目の挑戦でついに優勝を勝ち取り、2018 ジャパン・ラテアートチャンピオンとなった林バリスタ。今大会では残念ながら予選敗退となりましたが、ぜひ近い将来にまた世界の舞台で (そして願うべくは決勝ラウンドで) その繊細なラテアートを描いて欲しいと思います。
ちなみに、林バリスタの場合は竹に描いたラテアートがこれまでで一番変わった器だったとか。ビジュアル的にも結構お洒落だと思うので、できればぜひどこかのカフェでやってもらいたいものですね。使い捨てだとしても環境には優しいと思うので。
No.3 [マレーシア代表] Irvine Quek Siew Lhek (103 coffee workshop)
最終成績:優勝
驚くことに Quek バリスタはまだ20歳。そして初出場の今大会でなんと 2018 ワールド・ラテアートチャンピオンシップ (WLAC) 優勝の栄冠を手にしました。しかも予選、準決勝、決勝ラウンドのすべてでトップスコア。チープな表現になってしまいますが「すごい」としか言いようがありません。ただし年齢こそ若いもののバリスタ経験は4年を数え、2016年にはマレーシアの国内ラテアートチャンピオンシップで6位、2017年には4位、そして2018年はついに国内チャンピオンになると同時にRistr8to ワールド・ラテアートバトル (WLAB) でも優勝と着実にステップアップしてきた Irvine バリスタ。決してたまたま優勝したのではなく、しっかりと身に付けた技術があってこそ並み居る熟練のバリスタを抑え頂点に立つことができたわけです。今大会で楽しみにしていることの一つが「ブラジルのコーヒー農園を訪ねること」と言っていた同バリスタ。現地で農園訪問を存分に楽しめたことを願っています。
タイ代表として 2017 ワールド・ラテアートチャンピオンとなった Arnon Thitiprasert (Ristr8to オーナー兼ヘッドバリスタ) さんから大きなインスピレーションを受けていると語る Irvine バリスタ。Arnon さんはそのバリスタ技術もさることながら地元タイではいまや有名芸能人並みの人気と影響力を持っていますが、Irvine バリスタも同じく東南アジア出身の世界チャンピオンとして共にASEAN各国のバリスタをけん引する存在となっていくことでしょう。(有名になる前に彼の働くカフェに行っておけばよかったと若干後悔中。でも家から遠くはないので、近いうちにぜひ足を運びたいと思います。)
ちなみに同バリスタにとっては、日本酒の枡が今までラテアートを描いた中で最も変わった器だったそう。四角い枡にラテアートを作るのは丸みのあるカップとは全く違うので難しそうですね。いっそのことミルクに甘酒でも混ぜ込んでラテにすれば枡の雰囲気に合うような気もしますが、風味がどんなものだか・・・。どなたかバリスタの方で試してみて美味しく出来ましたらぜひ教えてください。
(「103 coffee」の公式サイトはこちら)
No.4 [ギリシャ代表] Michalis Karagiannis (Manor House)
最終成績:決勝2位
2016年から3年連続でギリシャの国内ラテアートチャンピオンの座をキープしている Michalis バリスタ。2016年のワールド・ラテアートチャンピオンシップ (WLAC) では6位、そして2017年大会では2位という素晴らしい成績を残しています。今大会も優勝にあと一歩届かず2位となりましたが、世界大会で2年連続で2位になるというのは世界トップレベルでなければ決してできないことであり、その実力は自他ともに認めるところです。同バリスタの描く優雅で繊細なラテアートは一見の価値あり。ぜひ動画サイトなどでチェックしてみてください。
ワールド・ラテアートバトル (WLAB) にも出場し、精力的に活動の場を広げている Michalis バリスタ。今後も世界のラテアート界をリードする存在として活躍し続けてくれるでしょう。
No.5 [オーストラリア代表] Shinsaku Fukayama 深山晋作 (St Ali)
最終成績:決勝4位
元々は日本でシェフをしていたという深山バリスタ。どうしてもバリスタになりたくカフェ文化の中心であるオーストラリアのメルボルンへ渡ったものの、当初はバリスタ経験もない上に英語も話せなかったため苦労したといいます。カフェでお客さん相手に一日数百杯のコーヒーを淹れ、さらに仕事の後にも何杯となく練習を重ねるーバリスタという仕事への情熱と高いモチベーションを保ちながら努力と訓練を欠かさない同バリスタの姿に「Samurai (サムライ) Shin」と呼ばれているというのも不思議ではありません。
2016年から2年連続でオーストラリアの国内ラテアート選手権2位となった深山バリスタ。やはり2016年には、アメリカ・テキサス州ダラスで開かれた「Coffee Fest Dallas 2016」にてラテアート・ワールドチャンピオンシップ・オープン (Latte Art World Championship Open) 優勝、そして2018年に念願のオーストラリア国内チャンピオンとなり今大会への出場を果たしました。世界大会という舞台でもその実力を存分に発揮し、WLAC初出場で4位という見事な結果を残しました。これからも、海外の地で活躍する深山バリスタの姿を目にする機会はますます増えることでしょう。
深山バリスタが今までに淹れたラテアートの器で一番変わったモノは、なんとアボカド。やはり果肉をくり抜いた後の皮を使ったのか、それともある程度果肉が残ったところに注いだのか・・・考え出すと気になって寝られません。深山さんがもしこのブログを読まれることがあれば、いつか真相を教えて頂きたいものです。
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(2018年11月13日:タイトル修正、レイアウト変更)
(2018年11月15日:テキスト修正)
[参考資料]
Brazil World Coffee Championships, URL: https://www.worldcoffeeevents.org/brazil (参照日:2018年11月11日)
World Coffee Events, URL: https://www.worldcoffeeevents.org/competitors/ (参照日:2018年11月11日)
‘侍のいるカフェ。’. Go 豪 メルボルン, URL: https://www.gogomelbourne.com.au/columns/cforcoffee/3623.html (参照日:2018年11月11日)