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ただ甘いだけじゃない― ベトナムコーヒーの魅力とは

投稿日:2018年3月27日 更新日:


ベトナムコーヒー by Gaku.Y

ベトナムコーヒーについて

ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国であり、ロブスタ種に限って言えば世界一の生産量を誇ります。 そんなベトナムで地元の人々に広く愛されているベトナムコーヒー。ベトナムに行ったことがない方でも、上に小さな金属製のフィルターをのせたカップで提供されるユニークなコーヒーだということはご存じでしょう。

さて、ベトナムコーヒーというのは同じコーヒーとはいえ、マレーシアやシンガポールのコピなど東南アジアの他の国で飲まれているものとはまた違った飲み物です。

まず、コピと比べるとベトナムコーヒーの方が圧倒的にコーヒーの香りを感じます。ベトナムコーヒーは抽出中から甘ったるい香ばしさが漂ってきますが、コピの場合はカップに鼻を近づけてもそれほど強い香りはありません。

一方、濃厚さという点ではコピに軍配が上がります。よく「ベトナムコーヒーは甘くて濃厚だ」と言われますが、タイプが若干違うとはいえ正直コピの方が味もテクスチャーもずっと濃いのです。ただし、ベトナムコーヒーが薄いというわけではなく、クリーミーな味わいという意味ではむしろベトナムコーヒーの方が上です。いずれにしても、普通のドリップコーヒーなどと比べると、初めて飲むベトナムコーヒーのキャラメルのような濃い風味は未体験ゾーンだと感じることでしょう。

コピとベトナムコーヒーは、どちらもコンデンスミルクを入れて飲まれることが多いのですが、コピの場合は底に溜まったミルクを全部混ぜて溶かしてしまうと激甘になります。一方、個人的な感想ですが、ベトナムコーヒーは全部かき混ぜても比較的甘さが控えめのように感じます。一般的な日本人の味覚にはそれでも十分甘すぎるレベルかもしれませんが、ベトナムコーヒー自体が持つ風味の強さを考えると、ちょうどバランスのよい範囲内ではないかと思います。

時おり、「ベトナムコーヒーはコンデンスミルクを入れた濃厚なコーヒーだ」と説明されることがあります。確かによく飲まれているのはミルクを入れたコーヒー (Cà phê sữa:カフェ・スア) ですが、現地ではちゃんとブラックのベトナムコーヒー (Cà phê đen:カフェ・デン) も存在します。ただし、ブラックと言ってもコンデンスミルクが入っていないだけで、日本人が想像するいわゆる「ブラックコーヒー」とはかなり性格が異なるので注意が必要です。

バターを加えるなど独自の方法で深炒りに焙煎されたロブスタ種の豆を、カップにのせられた金属製フィルターで時間をかけて抽出し、さらに (多くの場合) コンデンスミルクを入れて提供されるベトナムコーヒー。その独特な風味とユニークな抽出方法で、地元の人だけではなく外国人やベトナムを訪れる観光客にも人気の飲み物となっています。

本場で飲むベトナムコーヒー

地元の人に絶大な人気を誇るベトナムコーヒーは、ベトナム料理レストランなど世界中の色々な国でも飲むことができます。マレーシアでもベトナム料理店はそれなりにありますし当然ベトナムコーヒーも提供していますが、香りも味も やはり当地で味わうコーヒーは格別に美味しいものです。

とはいえ、たとえ本場であっても起きるベトナムコーヒーならではの「トラブル」をご紹介しましょう。

フィルターが詰まる

ベトナムコーヒーは、底に細かい穴がいっぱい開けられた専用の金属フィルターで抽出されますが、何度か飲んでいるといつか経験するのが「フィルターの詰まり」です。

先日、ベトナム中部の街ホイアンのとあるカフェでコーヒーを注文した時のことです。

ベトナムコーヒーはその構造上ポタポタと時間をかけてコーヒーが抽出されるものではありますが、いつまで経ってもカップの中のコーヒーが増えている様子がありません。フィルターに触ろうとすると店員は「ゆっくり待て」と言うのですが、ついに一滴も落ちてこなくなりました。

すると先ほどからチラチラとこちらを見ている店員がついにやってきて、フィルターをゆすったり中のフィルター (コーヒー粉の上にのせる中ブタ) をこちょこちょと動かしたりした後、「あと数分だから」と言い残して去っていきました。

真ん中に見えるのが中ブタの持ち手

その後何滴かコーヒーが落ちたものの、約10秒後にはまた完全にストップ。 再度やってきた店員、今度はフィルターを傾けてカップの上に置き、細々とコーヒーが流れ出すのを見ると「あと1分ぐらい」と言って戻っていきます。

が、直後にまた詰まる
出ない時は何をやっても出ないのです。

傾けられたフィルター

結局最後は、落ちきらず中に残ったコーヒーごとフィルターを片づけられてしまいました。ポジティブに考えれば、残ったコーヒーがテーブルにこぼれないように片づけた、悪く考えると「証拠隠滅」というところでしょうか (笑)。しかも、その後になぜか店員がスプーンでご丁寧にカップの中のコーヒーを混ぜ混ぜ。本来の量よりエスプレッソ1杯半ぐらい少なくなったコーヒーに通常量のコンデンスミルクが完全に溶け合い、普段より明らかに甘さレベルが増したコーヒーを味わうことになったのです。

ベトナムコーヒー用の金属フィルターを使っている限りこうしたことは時々起こるので、そんな時はイライラせずにとりあえず出来上がったコーヒーを楽しみましょう。ちなみにカフェと店員の名誉のために言いますが、ホイアンにあるこの「Hoi An Roastery (ホイアン・ロースタリー)」というカフェは、美味しいコーヒーが飲める上にサービスも悪くありませんので、当地に行かれた際はぜひお試しを。
※フィルターのクオリティーにもピンからキリまであり、しっかりとした作りのものだとやはり詰まりにくいようです。

約70年にわたり続いたフランス領インドシナ時代の名残が、食文化において今も強く残るベトナム。そうしたベトナムの食に絶妙にマッチしているところが、純粋なアジアともヨーロッパとも違う風味を持つベトナムコーヒーの魅力なのでしょう。みなさんもチャンスがあれば、ぜひ洋の東西両方のエッセンスを感じられるこのベトナムコーヒーを味わってみてください。

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東南アジアに住む筆者が、コーヒーコラムやテイスティングノート、また競技会や展示会等のイベントなど、コーヒー文化と地元の情報を現地から発信していきます。


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マレーシアのクアラルンプール在住。

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