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【タイ】「セーフティーボックスはセーフじゃない」:ホテルあるある その1

投稿日:2019年1月5日 更新日:


近年順調に観光産業が拡大している東南アジア屈指の観光大国タイ。2019年の外国人観光者数は約4,000万人、観光収入が7兆7,000億円にのぼると見込まれています。(参考記事:SankeiBiz 2018年8月15日付「順調なタイ観光市場 19年はGDPの18~19%に」) 日本人にとってもタイはビジネスでの出張をはじめ友人とのプチ旅行、バックパッカー、ロングステイなどさまざまな形態で滞在先として選ばれています。

ただ、宿泊に関してやはり日本と同じ感覚ではいかないところがあるのも事実です。このシリーズでは実際に経験したトラブルから、外国人旅行者がホテルやゲストハウスで経験する可能性の高いシチュエーションを取り上げたいと思います。まず一回目は、セーフティーボックスについてです。

体験談1:セーフティーボックスが壁から取れる

以前、チェンマイで部屋数が30程度のお洒落でこじんまりとした、いわゆる「ブティックホテル」に泊まった時のことです。

部屋に入るとまずパスポートなど貴重品を電子ロックタイプのセーフティーボックスに入れ、新しい暗証番号を設定してロック。しばらくして外出に必要な物を取ろうと暗証キーを押したのですが、何をやっても液晶画面が真っ暗で反応なし。自力ではどうにもならないのでフロントに連絡します。

待つこと1分、すぐにメンテナンスのお兄さんがやってきました。セーフティーボックスを見るなり「あ、これ電池切れです」とのこと。「今から出るからすぐ中身欲しいんだけど、どれぐらい時間かかる?」と訊いたところ、「それならとにかく開けますね。2、3分で戻ってきますのでちょっと待っててください」との頼もしい返事。

次の瞬間、なんとお兄さんは金庫をつかむとバキッ!!と壁から引きはがしたのです。あっけに取られる私と妻を後に残し、お兄さんは貴重品の入った金庫を脇に抱えてホテルから駆け出すと、外に停めてあったバイクで颯爽とどこかへ去っていきました。

※ 写真はイメージです

『とにかく開ける』って、一体どこに持って行って開けるつもりなんだ?? っていうか、開けた後の中身どうするんだよ??」と頭の中でクエスチョンマークがぐるぐる回っている状態でしたが、ホテルの受付のお姉さんたちも「大丈夫、マイペンライ (全然問題ないですよ) ~」的な態度だったので、とりあえず待つことに。

そして本当に約3分後、お兄さんがバイクでカムバック。「はい、どうぞ」と差し出した彼の手には、見事に「パカッ」と開いたセーフティーボックスが。まあ現金は入れてなかったし、パスポートとか入れた貴重品は確かに返ってきたし、わずか3分間では何か悪用する時間もなかっただろうし・・・と、とにかく納得せざるを得ない状況に。何よりお客さんをハッピーにした」と信じて充実感いっぱいの笑顔を浮かべたお兄さんを見ていると、今さら何か言う気も起こりません。(注:この辺りの無邪気さは、タイ人というより特にチェンマイ人的な要素かもしれませんが) もちろん、セキュリティーの面でもホテルのオペレーションという意味でも突っ込みどころはいっぱいあるのですが、「とにかく一番効率的で手っ取り早い解決法」という点ではこの行動はタイ人的に正解だったのでしょう。

いまだに彼がどこに行ってどうやって開けたのかナゾですが、タイでは「セーフティーボックスは腕力で取り外せることもある」&「“どこか” に持って行って簡単に開けられる」いうのを目の当たりにして、セーフティーボックスに対して持っていた今までの常識が覆りました。タイに限らず東南アジアの国では大抵似たようなものだと思いますが、備え付けのセーフティーボックスを手で少し揺すってみて明らかにグラグラしている場合は、もしかしたら金庫ごと壁から外れるかもしれないという可能性は頭に入れておきましょう。

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体験談2:セーフティーボックスとマスターキー

セーフティーボックスのお引越し

数年前に小規模なホテルに宿泊した際、とある事情で部屋を移動することになったのですが、外出している間にスタッフが親切で荷物を全部動かしておいてくれました。そこまではよかったのですが、次にスタッフがドヤ顔で言った言葉が、

セーフティーボックスの中身もちゃんと動かしといたからね☆」 

あまりにもサラッと言われたので最初は聞き流したものの、数秒後にん!? フロントは当然マスターキーを持っているのでセーフティーボックスを開けられることは知っているものの、さすがにゲストがいない間に動かしちゃうのはマズいんでないの??

しかし、ここでもスタッフは「お客さんをハッピーにした」と信じて満面の笑顔。ただ何かあってからでは遅いので、やんわりと「親切でやってくれたのは分かるし疑ってるわけじゃないけど、次からセーフティーボックスは勝手に開けない方がいいと思うよ」と言ったのですが、「私はそんな悪いことなんかしないから信じてくれて大丈夫!」と自信たっぷりに返されました。いや、友達としてはそれでいいかもしれないけど、宿泊施設としてはちょっと・・・。

そして次の日、事件は起こりました。

誰もが使えるマスターキー

部屋を移動した翌日の夜、セーフティーボックスに入れていた現金を何度も真剣な顔で数えていた妻がポツリと・・・1枚足りない。もしかして前の日にセーフティーボックスの中身を “お引越し” した際に何か起きたかと思い「昨日部屋を移った後は確認した?」と尋ねると、「昨日の夜はちゃんとあったけど、その時から1000バーツ札 (約3,000円) が1枚減ってると思う」との答え。もしかすると勘違いかもしれないので、もう一日様子を見ることにしました。

そして次の日の夜。現金を数えた妻が「確実にやられてる。昨日からまた1枚減った」。これはもう勘違いではないということで、ホテルスタッフに連絡。すぐに警察が来て部屋の実況見分が行われることになりました。警察と一緒に監視カメラの記録を見たものの、掃除のおばさん以外に外部からの入室はなし。しかし、その時に分かった仰天の事実が「掃除のおばさんが使っているマスターキーに、全部屋の金庫のカギもついていた」ということ。セーフティーボックスの意味がまるでありません。

こうなると、みなの疑いの目は当然ながら唯一部屋に入った掃除のおばさんにいくわけですが、本人は「私はやってない。以前も大金の忘れ物があった時にちゃんと返した」と犯行を全面否定。クリーニングのために部屋に入ること自体は問題ないうえ、当たり前ですが部屋の中には監視カメラなどないので決定的証拠もなし。結局ホテル側が、こちらが盗難に遭ったと申告した計2,000バーツを補償してくれることでその場は収まりました。

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ただ、「スタッフが自由にアクセスできるマスターキーにセーフティーボックスの鍵がついているのは絶対おかしい」とクレームし、その日からフロント責任者以外はセーフティーボックスの鍵を使えないよう管理の仕方を改善。これは明らかにオペレーションの問題ですが、タイを含めた東南アジアの国々のホテルやゲストハウスでは、金庫も含めたマスターキーの管理が非常にゆるい場合も珍しくないという点を覚えておくことは大切でしょう。

後日談ですが、件の掃除のおばさんは “疑わしきは罰せず” で相変わらず働いていたものの、数か月後に再びそのホテルに泊まった際に私たちの顔を見るなり次の日からずっと病欠。ほどなくしてそのホテルを辞めたそうです。

地元のタイ人の知り合いにその話をしたところ、クリーニングの際に財布や封筒からお札を抜くことはセキュリティーの甘い宿泊施設では度々あるそうで、いきなり “病欠” で来なくなったタイミングから見てもその掃除のおばさんは恐らくクロだろうという意見でした。同じ部屋から2日連続で盗る手口からも、かなり手慣れている常習犯ではないかとのこと。大金を盗むとすぐバレるものの、現金を入れた封筒の中身をいちいち数えている客は少ないので1、2枚程度ならほとんど気づかないそうです。私たちの場合も、もし盗難被害が一回だけなら何かの勘違いだろうということで終わっていたでしょう。

こうしたことを考えると、できれば少しリサーチしてセキュリティーの面でも評判のいいホテルを探す手間は惜しまない方がいいかと思います。

ホテル滞在中の貴重品管理

貴重品を管理する上で、セーフティーボックスは100%安心できるものではないということが大前提になります。「こうすれば絶対盗難を防げる」というものはありませんが、自分で試してみてそれなりに効果的だと感じた方法をお伝えします。

鍵付きのトランクに保管する

トランクやスーツケースに貴重品を入れてロックしておくのは有効な保管方法の一つです。「持ち運べるトランクに入れておくなんて安全じゃないだろ」と思われるかもしれませんが、ゲストの部屋に入って大きなトランクを持ち出すというのはあまりにも目立つので、盗む側としてはできれば避けたい方法と言えます。もし廊下やフロントに監視カメラがあったなら、他人のトランクを部屋から持ち出した時点で誰の犯行かすぐに発覚してしまいます。かといって部屋の中で短時間でカギを開けるのは簡単ではありませんし、仮に壊されていたらゲストも間違いなく気づくでしょう。特にホテル内部の関係者が絡む犯行の場合、問題を無駄に大きくすることは避けたいという心理が働くので、カギを物理的に壊すという選択肢は取らないことがほとんどです。

旅行に大きなトランクやスーツケースを持っていかないとしても、キャリーバッグなどに市販のトラベルロックをかけるだけでも同じような効果が望めます。ホテルでの窃盗というのはできるだけ素早く気づかれないように行う必要があるため、部屋から隠して持ち出せない大きさのものにカギをかけることで、最初から犯行をあきらめさせる状況となるのです。

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現金の封筒には詳細を記録する

セーフティーボックスを利用する場合、特に現金を入れた封筒に中身の詳細を日付と共に書いておくのは効果的です。ホテルでの犯行の場合、万が一何かの方法で金庫を開けられたとしても、空き巣被害などとは異なり封筒ごと全部現金を盗まれることはそれほど多くありません。前述の体験談のように大抵は気付かれない程度、またはバレても「もしかして勘違いかな?」と思わせる程度の金額を抜き取るのが一般的な手口です。封筒の見えるところに中身の出入金の詳細が記録してあると、「1枚抜き取っただけでもすぐ分かるぞ」という無言のプレッシャーをかけることになります。

もちろん犯人がその気になればそんなことは気にせず盗むこともできますが、「警報システム作動中」というステッカーが目立つところに貼ってあること自体が犯罪の抑止につながるように、心理的に犯行を行いにくい (無理にリスクを冒すことになると感じさせる) 状況を作り出すことは決して無意味ではありません。

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ここに挙げた例はあくまで参考ですが、海外のホテルやゲストハウスの滞在では日本の常識が通用しない部分があるということを意識しつつ、自分の身 (貴重品) を守るためにできる対策をしっかりと取って旅を楽しむようにしたいものです。

(2019年1月7日:テキスト修正、画像追加・変更)
(2019年1月8日:テキスト追加)


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