まもなくオランダのアムステルダムで開催されるワールド・バリスタチャンピオンシップ 2018 (World Barista Championship 2018)。公式ページ (英語) に載せられている参加バリスタの中から、個人的に気になった今大会注目したいバリスタ5人を選んでご紹介します。
(2018年6月24日:追記)
決勝結果:Agnieszka Rojewska バリスタが優勝しました!!
(2018年6月23日:追記)
準決勝結果:特集したバリスタ5名中3名が決勝ラウンドに進出しました!!
(2018年6月22日:追記)
予選結果:ここにあげたバリスタ5名全員が準決勝ラウンドに進出しました!!
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Contents
ワールド・バリスタチャンピオンシップ (WBC) の注目株
No.1 [ポーランド代表] Agnieszka Rojewska (Full Pro Coffee)
出場順:予選ラウンド37番目 (現地時間 6月21日 午前) Station 1
準決勝ラウンド13番目 (現地時間 6月22日 午後)
決勝ラウンド5番目 (現地時間 6月23日 午後) Station 2
最終成績:優勝
2014年にポーランド国内のラテアートチャンピオンとなって以来、様々な競技会で活躍しているバリスタ。2015年と2016年は2年続けて国内バリスタチャンピオンとなり、WBCシアトル大会 (2015)、ダブリン大会 (2016) に連続出場。2016年にはポーランド年間最優秀バリスタを受賞し、さらに2017年にはワールド・ラテアートチャンピオンシップ (WLAC) 3位という素晴らしい成績を残しています。本年度2018年はバリスタチャンピオン&ラテアートチャンピオンの国内2冠となった Rojewska バリスタ。このままの勢いで、3回目の出場となるWBCでも上位に食い込んでくるのではないかと予想しています。ちなみに今大会では、エチオピアのメシナ (Mesina) という村で生産されている豆を使用するとのこと。
コーヒーに関わっていなければたぶんサッカー関係の仕事をしていただろう、という同バリスタ。近年、抽出技術がより科学的に分析されるようになってきたことから、バリスタとしてはお客さんがもっと深くコーヒーを理解するための知識と体験を提供していくことが大切だと語っています。将来の目標は、ポーランドの若くて才能のあるバリスタたちがプロとして活躍できるよう指導していくことだそうです。
No.2 [日本代表] 石谷貴之 Takayuki Ishitani (TAKA ISHITANI)
出場順:予選ラウンド34番目 (現地時間 6月21日 午前) Station 1
準決勝ラウンド4番目 (現地時間 6月22日 午前)
最終成績:準決勝ラウンド11位
WBCこそ今回が初出場ですが、国内バリスタ選手権は2007年度から何と12回もの参加歴を誇り、直近6年の成績では3位以内が5回とほぼ毎年表彰台に上っているベテランバリスタです。「コーヒーで人を笑顔にできるのがバリスタの楽しさだ」と語る石谷さん。コーヒー業界の今後については、年々進化を続けているコーヒー器具の変化に後れを取ることなく、バリスタがより独創的なサービスをお客さんに提供していく必要があると述べ、同バリスタの現状に満足せず常により高いレベルを目指して努力し続ける姿勢がうかがえます。自身がバリスタとして働くのみならず、店舗のマネジメントやバリスタトレーニングなど多角的にコーヒービジネスに関わっている経験と知識は、パフォーマンスの奥深さとして今大会の競技においても存分に発揮されることでしょう。
ちなみに、一日に飲んだコーヒーの最高記録はエスプレッソ30杯、好きなカフェは香港の「Cupping Room」だそうです。
No.3 [オランダ代表] Lex Wenneker (Friedhats Coffee / ESW)
出場順:予選ラウンド13番目 (現地時間 6月20日 午前) Station 1
準決勝ラウンド7番目 (現地時間 6月22日 午後)
決勝ラウンド6番目 (現地時間 6月23日 午後) Station 3
最終成績:決勝2位
今大会の地元アムステルダムからのエントリーとなるバリスタ。これまで10年以上にわたりバリスタ、ロースター、トレーナーとして幅広く活躍しており、WBCは2015年のシアトル、ファイナリストとなった2016年のダブリン (決勝6位) に続き3回目の出場です。子どもの頃は弁護士か登山家になりたかったそうですが (今でも登山は趣味として楽しんでいる)、初めて家でマニュアルのエスプレッソマシンを使って淹れた一杯がきっかけとなり、コーヒービジネスの道へ進むようになったとのこと。2011年には各地のイベント等を回ってフードトラックでコーヒーを提供するビジネスを始め、その後エスプレッソバーの立ち上げなども経て現在ではアムステルダムで自身のロースタリー「Friedhats Coffee」を共同経営しています。
コーヒーの今後について同バリスタは、最近ではより多くの人がいわば単なる眠気覚ましとしてではなく、その風味を楽しむためにコーヒーを飲むようになってきていることから、今スペシャルティコーヒーと呼ばれているものがいつかは消費者のスタンダードとなるだろうと語っています。「コーヒー以外で好きなことは?」との質問に、「登山と僕のガールフレンド」と答えるスイートな一面も。
ちなみにアムステルダム大会で一番楽しみなことについては、「家から自転車でWBCの会場に行けるってサイコー」だそうです。目標は決勝ラウンドに進むことという Wenneker バリスタ。ホームでの開催となる今大会、地元の熱い声援を受けた活躍が期待できそうです。
No.4 [ニュージーランド代表] John Gordon (Gorilla Gear)
出場順:予選ラウンド26番目 (現地時間 6月20日 午後) Station 2
準決勝ラウンド1番目 (現地時間 6月22日 午前)
決勝ラウンド3番目 (現地時間 6月23日 午前) Station 3
最終成績:決勝6位
これまで約14年にわたりコーヒービジネスに関わってきた Gordon バリスタ。初めはオーストラリア、その後イギリスに移り、現在はニュージーランドを拠点として活動しています。2009年にイギリスで国内ラテアートチャンピオンとなったのを皮きりに、2010年、2011年、2013年に3度の国内バリスタチャンピオン、そして4年間の休止期間を経て2018年にはニュージーランドでも再び国内バリスタチャンピオンとなるなど、バリスタとして各国で素晴らしい成績を収めてきました。また、WBCにおいても2011年には決勝ラウンドに進出 (決勝6位) しています。
現在は自身がデザインするブランド「Gorilla Gear」にて、カスタムメイドのグラインダーをはじめ各種コーヒー器具の販売も展開している Gordon バリスタ。特にグラインダーについては、「静電気、熱、均一でない粒子などはすべて理想のコーヒー抽出の妨げとなるもので、コーヒーを挽く際にできるだけ豆にストレスをかけないことが美味しいコーヒーのカギとなる」という強い信念を持っています。プロのバリスタとして持つ深い知識に基づき、最高のコーヒーを提供できるよう器具の細部にわたるまで緻密にデザインするコーヒーへのそのこだわりは、今大会の競技においても審査員や観客をうならせるものとなるはずです。
No.5 [オーストラリア代表] Craig Simon (Veneziano Coffee Roasters)
出場順:予選ラウンド33番目 (現地時間 6月21日 午後) Station 3
準決勝ラウンド16番目 (現地時間 6月22日 午後)
最終成績:準決勝ラウンド7位
オーストラリア初のQグレーダーとしてこれまで多くのバリスタにトレーニングを行ってきた Simon バリスタ。コーヒー文化が成熟しているオーストラリアで、2012年、2014年、そして2018年と3度の国内バリスタチャンピオンになった実力派です。2回目の出場となった2014年のWBCでは決勝4位という成績を残しています。(この年のチャンピオンは日本の井崎バリスタ)
コーヒー業界の展望については、今後スペシャルティコーヒーの価値がますます高まっていくだろうと予想。いわばワインの世界におけるソムリエのように、お客さんがコーヒーを楽しむために必要な情報をバリスタが発信していくことがより求められるようになると語っています。単なるバリスタスキルにとどまらず、農園での生産から焙煎、抽出、サービスというコーヒーのサイクル全体をとらえ、それぞれのセクターにおいてどのように底上げを図れるかを強く意識しながら精力的に活動している同バリスタ。その広い視野と知見を活かして、今大会でも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれることでしょう。ちなみに、趣味はレース用の競技車両を作ることと音楽だそうです。
その他の今大会に関する情報は、こちらの記事「【オランダ】イベント:2018 World Barista Championship (WBC)」をご覧ください。
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[参考資料]
The Road to the World Barista Championships: Agnieszka Rojewska. Best Coffee, URL: https://www.bestcoffee.guide/news/the-road-to-the-world-barista-championships-agnieszka-rojewska (参照日:2018年6月8日)
20 QUESTIONS WITH TAKA ISHITANI, JAPAN BARISTA. Good Coffee, URL: https://goodcoffee.me/column/interview/20-questions-with-taka-ishitani-japan-barista/ (参照日:2018年6月8日)
John Gordon’s Gorilla Gear Swings Into Action with Custom EK43 and Mythos Burrs. Daily Coffee News, URL: https://dailycoffeenews.com/2017/02/24/john-gordons-gorilla-gear-swings-into-action-with-custom-ek43-and-mythos-burrs/ (参照日:2018年6月8日)
(2018年11月16日:テキスト修正、詳細情報追加)