コーヒーの品種ノートです。
マルセレサ (Marsellesa)
由来: | ティモール・ハイブリッドとビジャサルチの人工交配種 |
豆のサイズ: | やや小さい |
収穫量: | 多い |
風味の質: | 良好 |
初回収穫: | 3年目 |
さび病: | 耐性高い |
炭疽病: | 耐性あり |
線虫: | 耐性低い |
栽培適正標高: | 北緯5度~南緯5度:1,000~1,600m 北緯/南緯5度~15度:700~1,300m 北緯/南緯15度以上:400~1,000m |
マルセレサの歴史
マルセレサは、品種系統としてはサルチモールの一種になります。サルチモールの代表的な品種T5296と比較すると、交配の元となったティモール・ハイブリッドとビジャサルチは同じですが、商業生産に乗るまでの道のりが少し異なります。
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T5296が中米コスタリカで開発されて各地へ広まったのに対し、マルセレサは隣国ニカラグアでの研究を経た後に栽培されるようになりました。マルセレサもT5296と同様、ポルトガルのさび病研究所 (CIFC) が試験生産を目的として1970年代初めに各研究機関に送ったサルチモールの品種 (H361) をベースにしています。この時、ニカラグアではフランス国際農業開発研究センター (CIRAD) と世界3大コーヒー商社の一つであるECOMによって研究・選別が進められ、最終的にマルセレサと名づけられる品種が開発されました。
流通量が限られているのであまり目にする機会はないマルセレサですが、この品種の特長は何といっても親であるティモール・ハイブリッド譲りのさび病への高い耐性です。現代のコーヒー生産におけるさび病の脅威について詳しくは、品種ノート「サルチモール」をご覧ください。
[参考資料]
World Coffee Research (2016) 「COFFEE VARIETIES of Mesoamerica and the Caribbean」, URL: https://worldcoffeeresearch.org/media/documents/Coffee_Varieties_of_Mesoamerica_and_the_Caribbean_20160609.pdf (参照日:2018年3月15日)