コーヒー品種ノート

【コーヒー品種】ティピカとは?

投稿日:2018年3月18日 更新日:


by Katya Austin on Unsplash

コーヒーの品種ノートです。

ティピカ (Typica)

由来:エチオピア―イエメン原種
豆のサイズ:大きい
収穫量:少ない
風味の質:とても良い
初回収穫:4年目
さび病:耐性低い
炭疽病:耐性低い
線虫:耐性低い
栽培適正標高:

北緯5度~南緯5度:1,600m以上

北緯/南緯5度~15度:1,300m以上

北緯/南緯15度以上:1,000m以上

ティピカの歴史

ティピカはブルボンと並び非常に古くからある品種で、その起源は15世紀から16世紀にかけてエチオピアから中東イエメンに伝わったコーヒーの一つだと考えられています。

1670年にイスラム神秘主義者のスーフィー (修道者) であったインド人のババブーダンがイエメンから初めて国外にコーヒーを持ち出し、それがインドへ持ち込まれました。この中にティピカ種が含まれていたと見られ、持ち込まれたコーヒーはインド南部に位置する当時マラバールと呼ばれていた地域 (現在のマイソール) で栽培されるようになります。

1690年代後半になると、インドのコーヒーは当時オランダの植民地であったジャワ島のバタビア (現在のインドネシア・ジャカルタ) へと伝わります。インドではティピカとブルボンが混在して栽培されていたと思われますが、ジャワ島に伝わったのはティピカであり結果的にこの種が取り分けられる転機となりました。そして1706年、今度はジャワ島からオランダのアムステルダムに一株のティピカが持ち込まれますが、そのことが後に世界のコーヒー分布に大きな影響を与えることとなります。

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オランダで育てられていたティピカ種は、1720年頃には南米にあった当時のオランダ領ギアナ (現在のスリナム) へ 、そしてフランス領ギアナのカイエンヌへとそれぞれ伝えられます。さらにそこからブラジル北部へと渡ったティピカは、1760年から1770年頃にはブラジル南部に、その後はペルーやパラグアイまで広がってゆきました。18世紀後半までにはカリブ諸島の国々やメキシコ、コロンビアなどにも伝わり、最終的には中央アメリカ全域でティピカの栽培が行われることとなります。

少し時間が前後しますが、1714年にオランダからフランスのパリに寄贈されたティピカがギアナ経由のものとは別ルートで世界に広がりました。1720年代になるとパリから西インド諸島のフランス領マルティニークへとティピカが持ち込まれ、1730年代にはジャマイカとサント・ドミンゴ (現在はドミニカ共和国の首都) へ、そして1748年にキューバへと伝えられます。その後はキューバからコスタリカ、さらにエルサルバドルへと広がってゆきました。

このように、現在世界各地で栽培されているティピカの多くは、1700年代初頭にアムステルダムへ持ち込まれたわずか一株から派生したものなのです。これは遺伝子の多様性が非常に低いということを意味しており (全部が直系親族のようなもの) 、大規模な環境変化や病害虫の脅威にさらされると種の絶滅も含めた大きな被害が起こり得るという、遺伝的脆弱性を抱えています。

バランスのよい優れた風味を持つティピカですが、生産性の低さとさび病など病害虫への耐性が弱いことから、近年では他の品種に切り替える農園も少なくありません。貴重な品種を絶やさないよう、これからも何とか栽培を続けていって欲しいものです。

[参考資料]
World Coffee Research (2016) 「COFFEE VARIETIES of Mesoamerica and the Caribbean」, URL: https://worldcoffeeresearch.org/media/documents/Coffee_Varieties_of_Mesoamerica_and_the_Caribbean_20160609.pdf (参照日:2018年3月15日)


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