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【V60 NEO】ハリオの定番ドリッパーが大きく進化 ―従来モデルとの違いは?

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Hario V60 Dripper NEO

HARIO V60 ドリッパー NEO

自分でドリップコーヒーを淹れて楽しむ、という方なら恐らく誰もが知っている、ハリオの円すい形ドリッパー V60。家庭で手軽に淹れられるのはもちろんのこと、淹れ方次第で抽出を自在にコントロールできることからプロのバリスタにも高い評価を受けており、「V60 ドリッパー」は文字通り世界中でその魅力と機能性が認められているドリッパーです。

AS樹脂を使用するスタンダードモデル以外にも、セラミックや耐熱ガラス、銅やステンレスなど、2005年の発売以来さまざまな素材のモデルが追加されてきたV60。しかし今回、日本スペシャルティコーヒー協会が主催するアジア最大のコーヒー展示会「SCAJ 2025」(2025年9月24~27日)にて、20年ぶりに素材のみならずリブの設計も含めて大幅に進化した「V60 ドリッパー NEO」が登場しました。

「V60 ドリッパー NEO」の特徴とは

独特のリブ形状

Hario V60 NEO Shot from above

HARIO V60 ドリッパー NEO

従来品と比べて一目見て分かる違いが、圧倒的に増えたリブの数とその配置です。

これまでのV60では、上部だけの短いリブが12本、そしてその間から長いリブが12本伸びているという設計でしたが、「V60 NEO」では、なんと72本もの極細リブが上から底の部分まで緩やかなスパイラルを描くデザインとなっています。ドリッパー円周の角度5度につき1本ずつ配置されている計算ですね。リブの本数や高さは試作と検証を何度も重ねた結果たどり着いたとのこと。この細かい多数のリブにより、ドリッパーの壁全体でお湯が均一に抜けるため素早く安定して抽出できます。さらに、抽出したコーヒーの流れが底部で9本に集まる設計も新しいポイントです。

こうしたいくつもの改良により、底部でコーヒーが滞留することによる過度の抽出を防ぐとともに、雑味を抑えて甘みと透明感が引き立つ味わいに淹れられるよう進化したのが「V60 NEO」だというわけですね。

素材の変更

従来品のスタンダードモデル「V60透過ドリッパー」では、AS樹脂というプラスチック素材が使用されていました。AS樹脂は高い透明性を持ちながら熱や衝撃・すりキズにも強いため、キッチン用品を含めさまざまな用途で使われている材料です。ただし、耐候性が低いため日光に長時間さらされると黄色く変色してしまいます。また、アルコールも劣化の原因となるため注意が必要です。

今回、「V60 NEO」では素材をトライタン (Tritan™) に変更。こちらもガラス並の透明度を持ち、耐熱・耐衝撃・耐久性はもちろんのこと、高い耐薬品性もあり、さらにBPAフリーで安全性も高いため医療機器や哺乳瓶などにも使われている材料です。AS樹脂の弱点だったアルコールにも強いことからアルコール消毒も可能。大手レストランチェーンが店内で使用するグラスをトライタン製に切り替えたことからも分かるように、高い信頼性を誇る素材です。

本体形状の変更点

トライタンを使用した「V60 NEO」は、従来品よりも本体の厚みが薄くなっています。これにより、抽出中にコーヒーの熱が奪われて温度が下がるのを抑えられるとのこと。口径自体は、1~2杯用モデルで従来品が95mmだったのが新製品では108mm、1~4杯モデルは従来品116mmに対し新製品が128mmと、どちらも1cm少し大きくなっているようです。

ちなみに、「V60 NEO」にはシリコーンゴム製の台座がついています。台座はドリッパー本体の下部を包む形となっているので、取っ手をなくした代わりにこの部分を持てば抽出直後でも熱くないということでしょう。

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「V60 ドリッパー NEO」の価格は

サイズV60透過ドリッパー(従来品)V60 ドリッパー NEO(新製品)
1~2杯用\550(税込)\1,980(税込)
1~4杯用\660(税込)\2,200(税込)

より精密な設計になった「V60 NEO」では、さすがに従来品と比べると大幅に値段が上がっていますね。素材のトライタンがAS樹脂より高価だという点に加えて、従来品よりはるかに多い72本の細かいリブを持つ「V60 NEO」では加工コストがかかるということでしょう。また本体とは別にシリコーンゴムの台座がついているため、当然その分もコストに含まれてきます。

ただ、従来品より全体の質感はかなり上がっているため、現在の物価も考えると新製品としては妥当な価格ではないかと思います。信頼の日本製、「メイド・イン・ジャパン」ですしね。しかし、こうしてみると同じく日本製の従来モデルがいかに安かったかということに改めて気づかされます。

今後のハンドドリップのスタンダードへ

“コーヒーをもっと自由にする”という思想のもとで初代V60が発表されて以来、実に20年ぶりのモデルチェンジとなる「V60 ドリッパー NEO」。プロのバリスタや競技会での使用にも耐えうる信頼性と機能性を持ちつつ、ビギナーでも美味しいコーヒーを楽しめる間口の広さがV60の変わらない魅力です。

これまでの20年もそうだったように、「V60 NEO」は間違いなくこれから10年、20年と世界中で愛されるドリッパーとして、ハンドドリップのスタンダードになっていくことでしょう。

(画像はプレスリリースより)

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