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マレーシア地元情報

【新型コロナ (COVID-19)】マレーシアの感染状況は?

投稿日:2020年1月24日 更新日:


picture of coronavirus

中国の湖北省武漢市で発生し、その後世界中で感染が拡大するパンデミックとなった 新型コロナウイルスCOVID-19)(注:日本ではあまり使われていませんが、英語圏では通常「コビッド・ナインティーン」。「中国 (武漢) ウイルス」という呼称も一部で使用)

現地からマレーシアの状況と地元の様子をお伝えします。

ロックダウンの詳細は当ブログ記事「【マレーシア】国家回復計画 (NRP) とは? (2021年8月)」で扱っています。

マレーシアの現状

(感染状況:2021年11月7日現在) マレーシア国内の新型コロナウイルス (COVID-19) の現在の入院患者は5,006名 (ICU:554名)、死者は計2万9,291名となっています。

『今日の一言』(2021年10月11日) :6か月以上禁止されていた州間移動が本日より解禁に。今週はこれまで他の州に住む家族や親戚に合えなかった人たちが大勢移動すると予想されます。ただ、ワクチンの完全接種がまだの人は移動できません。検問はないようですが、警察は抜き打ちチェックを行うとのこと。在住邦人の方はご注意ください。

注意しておきたい動き

(2021年8月8日) 国全体でワクチンの完全接種率が上がってきていることをうけ、ムヒディン首相はワクチン完全接種済の人を対象に店内飲食や移動できる範囲の拡大などSOPを緩和すると発表。(参考―The Star: “SOPs eased for fully vaccinated, here are the key points“)

(2021年8月5日) ワクチンの接種が急ピッチで進む中、国家回復計画 (NRP) の調整役であるテンク・ザフルル (Tengku Zafrul) 担当大臣は、制限を緩和して次の段階(フェーズ)に移行するかどうかを考慮する上で、今後は新規感染者数を判断指標とはしないことを発表。代わりに人口10万人あたりの重症者数を新たな指標として使うとのこと。ICU使用率成人人口のワクチン完全接種率については引き続き指標として使用されるようです。(参考―The Star: “NRP: Number of serious cases new indicator for phase transitions, says Zafrul“)

(2021年7月27日) 感染の急拡大が止まらない首都圏クランバレー地域では、陽性者への対応を変更。これまでは、陽性と判定された場合にCOVID-19評価センター (CAC) へ行く必要がありましたが、今後は陽性者のうち無症状・軽症者については、「MySejahtera」アプリを通した監視の上で自宅隔離となります。また、これまで実施されていた濃厚接触者への検査も、症状がない限り受けなくてよいことに。

10%を超える陽性率の高さを見ても分かるように、感染拡大に検査が追いついていない現状を踏まえ、今回クランバレー圏内 (KL、プトラジャヤ、セランゴール州) に限りこうした措置が取られたようです。これにより無症状感染者のカウントが減るため、報告される新規感染者数をそれなりに押し下げると見られます。

当局は「重症者は新規感染者全体の1%にすぎない」と強調していますが、どんどん病床が埋まり死者数が増加を続けているという事実を見る限りとても楽観視できる状況ではないと言えるでしょう。(在マレーシア日本大使館:「【新型コロナウイルス】クランバレー地域における陽性者(無症候又は軽症)の取扱いについて」)

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マレーシア政府の対応

マレーシアは人口の約4分の1が華人系ということもあり、旅行先として中国語圏から訪れやすい国であると共に、ビジネスにおいても中国とのつながりが深いところです。そのため、今回の感染拡大初期では中華圏から国内への感染者流入を防ぐことが大きな課題となりました。

当初の水際対策としては国内主要空港でのサーモグラフィー検査(体温検査)を強化しており、カンボジアから空路でマレーシアに到着したクルーズ船「ウエステルダム」の乗客の中から感染者を発見できたことなど、ある程度の意味はあったように思います。ただし、約14日程度とされる新型コロナウイルス (COVID-19) の潜伏期間や、無症状の感染者からでもうつることを考えると、サーモグラフィー検査による感染者のスクリーニングには限界があります。世界各地の事例を見ても分かるように、潜伏期間の感染者が無自覚のままウイルスを拡散させることが防疫対応を非常に難しくしています。

2020年1月27日にマレーシア政府は、武漢ならびに湖北省地域からの中国人渡航者へのビザ発給を停止すると発表しました。約2週間後の2月9日には、湖北省に加えて新たに浙江省江蘇省地域からの中国人渡航者へのビザ発給も停止。同時に、過去14日以内に制限対象地域となっている湖北省・浙江省・江蘇省への渡航歴がある場合、国籍に関わらず入国禁止という措置が即日実施されました。また、3月13日以降は当時感染が急拡大していた韓国、イラン、イタリア国籍の保持者、また過去14日以内にこれらの国への渡航歴がある外国人は入国禁止としました。

そんな中、増え続ける感染へのより強力な措置として、マレーシア政府は3月16日に「活動制限令 (Movement Control Order)」を公布。制限令中、隣国シンガポールとタイも含めた海外へのマレーシア人出国禁止、またビザの種類に関わらずすべての観光客・外国人渡航者入国禁止3月18日から適用されました。

延長を重ねた制限令 (MCO) の間に基本再生産数 (R0) は最大3.5から0.3 (5月13日時点) まで下がり、その後も多少の増減はあったものの比較的順調に感染を抑え込むことに成功し、6月から8月にかけては一日あたりの新規感染者が1ケタ台を行ったり来たりする程度にまでなりました。

しかし、9月になるとサバ州のラハ・ダトゥにある入管施設の拘留者の中で集団感染が発生し、そこから徐々に市中へと広がり始めました。そんな中にあって、サバ州議会の解散総選挙を9月下旬に強行したことにより、感染は一気にサバ州全域と半島マレーシアも含む全国に拡散します。

10月に入っても感染者はますます増え続け、10月13日からはサバ州全域にCMCO (条件付き活動制限令) が適用されました。しかし、増加する新規感染者に医療体制が追い付かず10月中旬には一旦病床数が限界に達しました。その後、軍による野戦病院の設置や公共施設の転用などで急遽ベッド数を増やしましたが、新規感染者が5,000名レベルになると完全にキャパを超え、感染第3波のピーク前後には重症患者以外は自宅療養に切り替えざるを得ませんでした。

(2021年5月15日更新) マレーシア政府は2020年12月14日以降入国者の隔離期間をこれまでの14日間から10日間へ短縮すると発表しました。※ 変異種の感染拡大が確認されている国からの渡航者には14日間の隔離が適用されています。

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マレーシアにみる不安要素

先に述べたように、マレーシアでは華人社会が人口の25%ほどを占めています。そのため、中国新年 (春節) 関連の行事も非常に多く、中華系のマレーシア人の多くが家族・親戚一同で集まって食事をしながら新年を祝います。こうした祝いの席は大人数が近距離で長時間接触することになり、実際マレーシア人初の感染者となった男性からも春節関連の食事等で他の家族や親族に感染していたことが確認されています。判明していないだけで、他にも感染があった可能性は高いでしょう。

一般的に言ってマレーシア人は衛生に関してさほど敏感ではありません。保健衛生の観点からは基本的とも言えるトイレの後の手洗いや、外出後のうがいなどが習慣になっていない人は大勢います。また体調が悪ければマスクをする、咳やくしゃみをする際には口を覆うといった常識的なことも、当地ではさほど気にしていない人が少なくありません。

他民族・他宗教国家であるマレーシアは、よい意味では大らかな国民性です。よくも悪くも高度な管理社会であるシンガポールや、国民性としてキレイ好きなところがあるタイ (なぜかマスク着用も比較的浸透している) といった隣国と比べると、マレーシアは現場での確実なルール運用、そして一般市民の衛生面での高い意識と協力が不可欠となる緊急時の感染対策を徹底するには不向きな国であるというのは否定できないところです。

(2020年8月3日更新) マレーシア政府は、8月1日以降人で混雑する場所公共の場所でのマスク着用を義務化すると発表。(参考―The Star: “Covid-19: Use of face masks in crowded public areas to be mandatory from Aug 1, says Ismail Sabri“)

さらに、マレーシアは外国人労働者を多数抱えています。インドネシア、ネパール、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、フィリピンなどからの出稼ぎ労働者が、建設現場、警備員、レストランスタッフ、メイドなど幅広い業種で働いており、その多くは狭い空間に大人数が寝泊まりするような環境で暮らしています。(1軒の家に20人以上住んでいることも普通) こうした環境で新型コロナの感染者が出ると、同居している労働者間で急速に感染が広がることは避けられず、さらにそこから職場や職場で接する人たちに拡大していくリスクがあります。(実際、シンガポールで第2波の感染が爆発的に増えたのは、上に挙げたような環境で生活する外国人労働者の間で集団感染が発生したためでした) また、こうした労働者は育った環境のため衛生に関する知識が十分でなかったり、体調不良でも医師の診察を受けなかったりすることもあり、マレーシア国内での感染病の拡大を防ぐ上では大きな弱点と言えます。

当初は政府も「不法滞在でもいきなり捕まえたりしないから、安心して検査を受けるように」と言っていたものの、後にEMCO (強化された活動制限令) で完全封鎖された地域に住む外国人労働者については、入管当局が滞在資格をチェックして不法滞在の摘発に動き出したこともあり、ビザに問題のある外国人労働者はかなり警戒しているようです。

5月初めにはセランゴール州PJオールドタウン地区で集団感染が発生したためEMCOが適用されましたが、その際も近隣住民によると封鎖される寸前に外国人労働者の多くが該当地域を脱出したとのこと。感染を閉じ込めるために軍と警察が対象地区を封鎖するわけですが、その前に不法滞在者が逃げ出すことが続けばさらなる感染拡大にもつながりかねません。

もう一つの不安要素は、マレーシア人は危機感を持たない人が結構多いということ。すでに感染が拡大しつつあった2月27日から3月1日にかけて、セランゴール州のスリ・ペタリン モスク (Masjid Seri Petaling) で開かれたイスラム教の集まりでは、世界各国から1万6,000人が出席しており、そのうち1万4,500人がマレーシア人だったと判明しました。(当初は集会の規模がずっと少なく見積もられており、参加者は1万人、マレーシア人は約5,000人と言われていましたが後に修正。/参考―The Star (英語): “Covid-19: 14,500 Malaysians attended Sri Petaling mosque programme, not 5,000)

結局このクラスターからは3,400名近い感染者を出すことになり、今となってはなぜ当局がこのような大規模なイベントを許可したのか、また主催者や参加者が危機感を持たなかったのか悔やまれます。

活動制限令 (MCO) が施行された後も、地元のマレーシア人 (特に中高齢者) は初日から相変わらずフードコートで朝食を取ったり、ご近所さんと集まって話をしたりと、何のための制限か分からない状態となりました。制限を出す側の当局もどこまで実情を把握して詳細を詰めたのか疑問に思えるところも多々あり、国民性というのが感染対策には大きく影響するということを実感させられます。

Kuala Lumpur city

クアラルンプール中心部の街並み

地元の反応は?

2020年の1月はまだ緊急感がない人が大多数でしたが、2月に入ってからは中国人旅行者ではなくマレーシア人の感染例が出てきたこともあり、地元の警戒感も一気に高まりました。マスクアルコール消毒スプレー (ハンドサニタイザー) は、1月末から2月にかけて都市部では数週間近くほとんど売り切れの状態となったほどです。お隣のシンガポールが警戒レベルをオレンジに引き上げた際、トイレットペーパーなど日用品が売り切れたという報道がありましたが、それ以来KL市内でもトイレットペーパーなどを大量に買いだめする人が一時的に増えました。

在留邦人の方も正確な情報を入手しつつ、食料・水の備蓄や医療品の確保など、各家庭でいざという時に二週間ほどは買い出しをしなくても何とかなる程度の準備は必要でしょう。

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インターナショナルスクールの対応

Classroom with tables and chairs

by Marie on flickr

首都圏のクアラルンプール周辺地域、ならびにペナンやJB (ジョホールバル) などの大きな都市にはインターナショナルスクールが何校もありますが、学校によっては在校生徒の多くが中国本土出身というところもあります。そうした学校では、当然中国人生徒と保護者の多くが春節の時期は本国に一時帰国していました。

マレーシアのインター各校では、感染者と接触した可能性のある教員・生徒の扱いをどうするか苦慮したようですが、多くの学校では中国へ渡航した、または中国からの渡航者と濃厚接触があった場合に2週間の登校自粛という措置を取る判断をしました。政府による指示ではないため強制力はありませんでしたが、学校側で目安となる期間を出すことには意味があったと言えるでしょう。

世界的な感染拡大を受けて、インター校では海外渡航のルール作りが必須となっています。通常であれば長期休暇期間中はインター校で働く教師の多くが出国しますが、マレーシア政府の外国人入国禁止措置がいつまで続くか分からないため、一度国を出ると新学期までに帰って来られるという保証がありません。多くの先生が出身国などに一時帰国後マレーシアに戻ってくることができなかった場合、例えオンライン学習が続いたとしても学校の運営に様々な支障が生じる恐れがあります。そのため、夏休み中の海外渡航を許可制とし、さらに学校の許可なく旅行した結果として新学期までに戻って来られなかった場合は雇用契約の解除も可能とするといった厳しい措置を取る学校もありました。

Teacher at classroom

by Steve Riot on Pixabay

さて、中国にもかなりの数のインターナショナルスクールがあり、そうした学校で働く外国人の中には当然アメリカ国籍の教師・職員も多く含まれています。感染拡大が明らかになった春節の時期は周辺国で休暇のような一時待機をしていたようですが、今後の見通しが全く立たなくなった時点でその多くが本国へ帰国しました。現在中国政府は外国人の入国を厳しく制限しており、戻って来ることができずに母国からオンラインで教えるしかない教師もいることでしょう。

たとえ今回の新型コロナウイルスの感染がある程度落ち着いたとしても、リスク回避のため海外企業の現地工場や駐在事務所を国外移転する動きが加速すればインター校に通う駐在員家族の数も当然影響を受けます。関係者の話によると、上海など中国のインター校の中には生徒数が激減した結果20名以上の教師を解雇した学校もあるとのこと。これから必要な人材・生徒の確保が非常に難しくなることは必至で、中国国内のインター校にとってはまさに死活問題となるのではないかと思います。

シンガポール政府の対応

シンガポール政府は2020年1月27日、中国から帰国した学校関係者や生徒に対して帰国日から2週間の登校停止を発令。また同月31日には、中国人旅行者ならびに過去14日間に中国を訪問した外国人旅行者を原則入国禁止とすると発表しました。シンガポールは東南アジア最大のハブ空港としても有名ですが、今回の入国禁止措置はシンガポール国内の空港で乗り換え (トランジット) の場合も適用され、経由地としてシンガポールを訪れる旅行者にも少なくない影響を与える措置となりました。

2月7日には国内における感染症の警戒レベルを上げ「オレンジ」とし、重要でない大規模なイベント等は中止または延期するよう勧告しました。シンガポールでは毎月様々なビジネス会議や国際商談イベントが開催されているため、この警戒レベル引き上げにより広範囲に影響が出ました。(参考― ロイター:「シンガポールが新型ウイルスの警戒レベル引き上げ、新たに3人感染」) 

警戒感が高まる中、2月12日には “世界最高のデジタルバンク” と称されるシンガポールの大手銀行DBSで社員1名の感染が確認されました。シンガポールの金融の中心であるマリーナベイ金融センター (MBFC) にある同社オフィスから、43階で働く社員300名が退去し在宅勤務に切り替える騒ぎとなり、この件はマレーシアでも大きく報道されました。この頃から、シンガポールの企業ではマレーシアも含め原則として社員の国外出張・旅行の自粛を強く求めるところが出てきました。

そしてマレーシアでも活動制限令 (MCO) が施行された3月18日には、シンガポール政府が国民に対し即時にすべての海外旅行を延期するよう勧告しました。

都市国家のため人口密度が高く、MRTなど公共交通機関が発達していて人混みが多いというシンガポールの環境では、一旦どこかで集団感染が始まるとコントロールが非常に難しくなります。4月7日からは1か月の予定 (のちに2か月に延長) でビジネス閉鎖や外出制限などを含む措置 “Circuit Breaker (サーキット・ブレーカー)” を実施しましたが、4月14日からたった4日少しで約4,000名から8,000名超へと2倍に。集団生活をする外国人労働者の中での感染拡大が主な増加理由とはいえ、国全体に大きな影響が出ました。

ただ、8月中旬に最後の3ケタ台を記録して以降は2ケタ台で推移、そして10月2週目以降の新規感染者は1ケタ台を維持するなど抑え込みに成功し、シンガポール当局は2020年12月28日以降さらに活動を拡大させる「フェーズ3」へと移行することを発表。感染拡大が止まらないマレーシアを後目に、経済と公衆衛生をバランスさせながら慎重に状況をコントロールしてきました。

ところが、2021年5月に入ると今度はインド変異株 (B1617) を含む感染が再び徐々に拡大します。5月半ばになると新規感染者の約半数が市中感染の上、シンガポールにしては珍しく感染経路が不明なケースも2ケタという状態に。こうした状況を受け、シンガポール当局は2021年5月16日から6月13日まで、外食の禁止や2人以上での外出行動を禁止を含むロックダウンに近い制限を施行すると発表しました。今後、これまで明らかになっていなかった感染拡大が表に出てくる可能性もあり、そうなると制限の強化や延長も視野に入ってくるでしょう。

マレーシアとの国境を閉鎖する前は、JB (ジョホールバル) とシンガポールを結ぶコーズウェイだけでも1日あたり30万人以上が渡っており、これに空路での往来も含めると毎日相当な人数がマレーシアとシンガポールを行き来していたため、人の移動の再開には実効性のある規制なども含め2国間でより連携した対応と慎重な判断が求められます。

2020年8月17日以降は、公用重要なビジネスでの往来のための「Reciprocal Green Lane (RGL:相互グリーンレーン)」と「Periodic Commuting Arrangement (PCA:定期的通勤アレンジメント)」がスタート。今後当局がどのタイミングでどの程度の制限緩和を行っていくのか、特にシンガポールとマレーシア在住の方々は最新の情報に注意してください。

(2021年5月16日:追記) シンガポールでの新型コロナウイルス (COVID-19) の変異種を含む感染再拡大を受けて、マレーシア政府はシンガポールとの相互グリーンレーン (RGL) による往来を2021年5月13日以降 当面の間停止すると発表。(参考―FMT: “Green Lane from Singapore turns red from May 13“)

Singapore Merlion

by Graham Hobster on Pixabay

シンガポールでは保健省が新型肺炎の特設ページ(英語)を作り、国内の感染者数、現時点で感染の疑いがある人数、また検査で陰性だった人数を随時更新するとともに、新型コロナウイルスに関係するこれまでの経過と対応を時系列で掲載、またネット上やSNSなどで広がっているデマについては個別に真偽を説明し否定するなど、政府として市民に対して正確で詳細かつ必要な情報を迅速に伝える上で効果的な対応を取っています。

余計なリンクがないテキストベースのレイアウトで、1ページに全ての情報が含まれていることなど、日本の厚生労働省のウェブサイトとはアクセスのしやすさがまるで違います。厚労省のサイトは、発出日やごとに資料がバラバラで情報が一つにまとまっておらず、必要な情報を入手するために幾つもリンクをたどらされるのが致命的。他国の効果的な事例を積極的に取り入れて、緊急時には普段のレイアウトを大幅に変えてでも分かりやすく使いやすい情報提供を行って欲しいものです。

さて、今回の新型肺炎に関して情報公開においてはポイントが高いシンガポールですが、肝心の水際対策が甘かったのではないかという批判の声も上がっています。シンガポールはビジネスハブとして脚光を浴びることが多いものの、実は結構な観光立国です。当然中国人は観光産業にとっては上得意様であり、今回の感染拡大局面で感染エリアからの中国人を入国拒否としたタイミングも、早期に厳しい措置を取った台湾やフィリピンと比べると1週間ほど遅れました。

日本でもそうですが、インバウンド需要や国と国との関係という政治的な理由のために厳しい措置を取るのに躊躇することは、感染症への対処において致命的な遅れをもたらすことにもつながります。緊急時に感染を防ぐために最も重要なことが何かを判断する材料を政府に提供できる専門機関の役割は、今後ますます重要になってくることでしょう。

まとめ

現時点でマレーシアや近隣国の感染状況を見る限り、新型コロナウイルス (COVID-19) の感染が終息するのはまだ当分先のことになりそうです。ある意味で日本のようにダラダラと感染を引き延ばせるのか、それともヨーロッパ各国のように爆発的に感染が拡大してしまうのか。結果次第では、東南アジア地域全域の経済と発展は今後数年にわたって大きな影響を受けることになります。

東南アジア各国に在住の日本人の方々は、地元の情勢に十分注意を払いつつ “自分の身は自分で守る” ことを忘れずに、それぞれの国で感染が落ち着くまでの期間を乗り切ってください。

[日本―マレーシア:フライト参考情報] (2021年10月16日現在)

日本航空 (JAL):「2021年10月1日~31日 東南アジア・南アジア線路線計画変更内容」「2021年11月1日~30日 東南アジア・南アジア線路線計画変更内容

全日空 (ANA):「新型コロナウイルス感染拡大に伴う国際線路線・便数計画の一部変更について」※「東南アジア」をクリックすると、日本―マレーシア路線の情報が見られます。

マレーシア航空 (MAS):「フライトスケジュール」※発着空港を指定して「検索する」をクリックすると、該当する便の運行情報が見られます。

外務省・日本大使館関連 公式情報

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(2020年2月2日:写真追加、誤字修正)
(2020年2月17日:タイトル修正、記事加筆修正)
(2020年3月2日:記事加筆修正)
(2020年3月24日:記事加筆修正)
(2020年5月14日:記事加筆修正)
(2020年10月9日:記事加筆修正)
(2020年10月13日:レイアウト修正)
(2021年5月16日:テキスト追加・修正)


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40代の通訳者です。
マレーシアのクアラルンプール在住。

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