コーヒーの品種ノートです。
カスティージョ (Castillo)
由来: | カトゥーラとティモール・ハイブリッドの人工交配種 |
豆のサイズ: | やや大きい |
収穫量: | 多い |
風味の質: | 良い |
初回収穫: | N/A |
さび病: | 耐性あり |
炭疽病: | 耐性あり |
線虫: | N/A |
栽培適正標高: | 北緯5度~南緯5度:N/A 北緯/南緯5度~15度:N/A 北緯/南緯15度以上:N/A |
カスティージョの歴史
カスティージョ (カスティーヨ) はコロンビアのコーヒー研究所 (Cenicafé) で開発された比較的新しい品種です。同研究所では、病害に強い品種の開発を目標として1960年代後半から研究・改良が行われてきました。カトゥーラとティモール・ハイブリッドの交配を試行錯誤し、1982年、その名も“コロンビア”と名付けられた病害耐性を持つ品種が開発されます。
その後も、病害耐性を持ちつつより風味の良い豆を目指して選別と改良が続けられ、ついに2005年に品種名カスティージョとして商業生産用にリリースされました。カスティージョも、コロンビアと同じくカトゥーラとティモール・ハイブリッドの人工交配種 (いわゆるカティモール) ですが、それをいい意味で裏切る風味特性の良さに加え、さまざまな気候への順応性や樹木の長い寿命といった、生産者側のメリットにおいても大きく改善された品種となっています。
先に述べたように、カスティージョは開発の最大の目的でもあった高い病害耐性を備えています。これまでさまざまな病害耐性を備えた品種が開発されてきましたが、その多くは年数を経るにつれて耐性が落ちてしまうという問題を抱えています。その点、カスティージョは長期にわたって耐性を維持できると見られており、さび病やCBDが死活問題となるコーヒー生産者にとっては大きな魅力と言えるでしょう。さらに、収穫量が比較的多い上に親であるカトゥーラと同様に矮小種の特性を引き継いでいる (同じ広さにより多くの木を植えられる) という点も、生産者側のメリットとなっています。
一方、消費者にとって最も大切な点の一つは、コーヒーが美味しいかどうかということです。カスティージョはアラビカ種に比べて味では劣ると見られることの多いティモール・ハイブリッド系の品種ながら、風味が良いのが特長です。2014年と2015年に幾つかの研究機関と専門のカップテイスターが共同で行った官能検査では、カスティージョのサンプルの幾つかはSCAA (米国スペシャルティコーヒー協会) の採点基準で90点以上のスコアを記録。風味に定評のあるカトゥーラとの「明確な違いは見られなかった」という結論が出ています。これにより、適切な環境で栽培されるなら、カスティージョは風味の点で妥協することのない魅力的なコーヒーになるということが明らかになりました。
現在ではコロンビアにおけるコーヒー生産の約5割近くがカスティージョとなっており、商業生産としても成功しています。一時は品質が落ちたと言われたコロンビアのコーヒーですが、カスティージョのポテンシャルを十分に引き出した栽培&生産処理は、コーヒー生産国としての今後の重要なポイントになっていくと思います。
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[参考資料]
(2017年6月13日) Coffee Varieties: Debunking The Myths Around Castillo, Perfect Daily Grind. URL: https://perfectdailygrind.com/2017/06/coffee-varieties-debunking-the-myths-around-castillo/ (参照日:2021年4月1日)
(2015年4月20日) “Castillo種とCaturra種の間に品質の差はない?”. FNC コロンビアコーヒー生産者連合会. URL: http://cafedecolombia.jp/news/2015/04/4179/ (参照日:2021年4月1日)
[…] (上記情報はこちらのリンクを参考にさせていただきました) […]