マレーシア地元情報

【新型コロナ (COVID-19)】マレーシアの活動制限令について分かっていること

投稿日:2020年3月17日 更新日:


picture of coronavirus

当ブログの記事「【新型コロナ (COVID-19)】マレーシアの感染状況は?」では、マレーシア国内での新型コロナウイルスの現状を継続してお伝えしてきました。3月18日よりマレーシア政府は活動制限令 (MCO) を実施。その後状況が改善するにつれて条件付き活動制限令 (CMCO)回復のための活動制限令 (RMCO)と規制内容を変更しながら約6か月が過ぎています。

これまで改善が見られていた国内の感染状況ですが、ここにきて再び一部地域でCMCOに逆戻りするなど初めて一旦緩められた規制が強化されるステージにあります。当記事は3月当初の規制内容がコロコロ変わっていた時期に最新の情報をお伝えすることを目的に作成されましたが、このところの感染再拡大やそれに伴う措置も踏まえて内容を加筆修正しました (2020年12月28日)。

いくつかの情報についてはそれぞれ最終更新日を記していますが、基本的には本記事を加筆修正した2020年12月末時点での情報です。現在の状況とは内容が含まれている点をご了承ください。

活動制限令 (MCO) 概要

大勢が密集する活動の禁止

(2020年7月19日:追記) 7月15日以降は、ソーシャル・ディスタンシングを条件に宗教活動を含むイベント等の人数制限が解除されました。(参考―The Star: “No limit to number of people in social gatherings and places of worship starting July 15“)

閉鎖対象の施設

(2020年7月19日:追記) 回復のための活動制限令 (RMCO) においては、一部業種を除いてほぼ全てのカテゴリーで施設の営業が順次再開されました。

7月15日以降は、SOPの遵守を条件に学校も順次再開されています。(参考―The Star: “Schools to reopen in stages for other students starting July 15, says Education Minister“)

出入国の制限 (2020年12月15日現在)

・すべての観光客ならびに外国人入国を制限(入国を認めると政府が指定したカテゴリーのビザ保有者を除く)

(2020年9月8日更新) マレーシア政府は、就労ビザやMM2H (セカンドホーム) ビザを含む長期ビザ保有者であってもインドネシア、フィリピン、インド、米国、ブラジル、フランス、英国、スペイン、イタリア、ドイツ、ロシアなど計23カ国からの入国を禁止すると発表。9月7日から適用となっています。マレーシア政府は、基本的に15万人以上の感染者を出している国からの入国は禁止するという基準を明らかにしていますが、イスマイル・サブリ上級相は特に冬にかけて今後さらに同様の入国禁止措置の対象国を追加する可能性についても言及しました。(参考―New Straits Times: “Entry ban on countries with more than 150,000 Covid-19 cases“)

(2020年9月15日:追記) イスマイル・サブリ上級相は9月10日、上記の入国禁止措置対象国からであっても、プロフェッショナルパスを持つ外国人、駐在員、マレーシア人を配偶者に持つ外国人、ならびに永住者の入国申請を認めると述べ、先日発表した制限を一部緩和しました。(参考―The Star: “Entry ban relaxed on expats, professional visit pass-holders from 23 countries“)

(2020年7月19日更新)  政府当局は5月17日以降、MM2Hビザ保有者の再入国を認めると発表。しかし、再入国は許可制となっており、渡航者の事前登録など、所定の条件を満たす必要があります。 詳しくは現地の日本大使館による情報「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)パス保有者の再入国に係るガイドラインの改定(2020年10月6日更新)」をご参照ください。

マレーシア人出国を原則禁止

(2020年9月15日:追記) マレーシア当局は、外国での長期ビザを持っているマレーシア人については出入国管理局の許可を受けることなく出国できると発表しました。(参考―The Star: “Malaysians with long-term passes can leave, says Immigration DG“)

・原則としてすべての帰国 (入国) 者は入国後に政府指定施設で10日間の強制隔離

活動制限令に関するポイント

都市封鎖 (ロックダウン) や外出禁止になったって本当?

今回の活動制限令 (MCO) は、当初いわゆる都市封鎖や外出禁止令とは異なるということが強調されていました。実際に3月16日にムヒディン首相が行った制限令の発表段階では、日常生活に不可欠なもの以外の活動を制限するものの、国内での移動に関して厳しく取り締まるような制限は含まれていませんでした。しかし、ここから徐々に状況が変わっていきます。

少し遅れて国家安全保障会議が発表した「FAQ (よくある質問)」では、「休暇の旅行に行ってよいか」という質問に対して、「観光地への旅行は、日常生活に不可欠なサービスに関連するものでない限り基本的に禁止されている」との文言が。「FAQ」の回答を見る限り、本則には明記されていなかった移動の制限が前提となっているような書き方でした。一方で当初は営業禁止と言われていた飲食店に関しては、持ち帰り・宅配用なら基本的に営業可ということになり想定よりも緩くなりました。(参考―The Star:”Frequently asked questions (FAQs) on movement control order“)

本則では特に制限されていなかった自宅周辺の屋外活動や外出の要件にも、日を追うごとにより厳しい規制がかかっていきました。3月22日には、規制強化のため当初は否定していた軍の投入を実施。4月1日以降は、後に規制が緩和されるまで自宅周辺でも屋外の散歩や運動は禁止、買い出しと医療以外の私用での外出は禁止、至る所で軍と警察が検問を実施、夜10時から早朝6時までは自家用車の使用を禁止、また公共交通機関やタクシーも通勤時間帯以外は利用不可 (最終夜10時)ということで、事実上外出禁止と殆ど変わりがない状態でした。

期間がさらに2週間延長となったフェーズ2以降の制限令では、罰金の金額こそ比較的低いもののある意味で欧米での “ロックダウン” よりも厳しい規制だったと言えます。(例:ドイツやフランスでは他人と接触せずに行う運動や散歩、家族や他人を支援するための外出は、時間帯や距離制限などあるものの許可されていた。一方、マレーシアは当初すべて禁止。)

出入国に関しても、外国人は原則入国禁止、マレーシア人の出国を禁止、すべての帰国 (入国) 者は14日間 (12月14日以降は10日間) の強制隔離という厳しいものになっており、国境封鎖と呼んでも差支えない措置でした。恐らく一般市民からの反発の強い “封鎖” というイメージを和らげるため、マレーシア政府は制限令を「ロックダウンとは違う」「外出禁止ではない」としましたが、制限緩和前は世界的に見てもそれなりに厳しい措置だったと言ってよいと思います。

食料品の買い出し

Vegetable and fruits displayed

食料品店やスーパーを含む生活必需品の供給は制限を受けないため、活動制限令 (MCO) 期間中も買い出しには行けましたし、必要以上に買いだめする必要はありませんでした。そうはいっても、制限令の実施前日は朝から食料品を扱う店舗や市場はどこも大量の客。近くのスーパーでもカートに一杯の食料やトイレットペーパーを積み込んで、開店後わずか15分の時点で10以上ある各レジに20人以上が並ぶ長蛇の列が見られました。

政府が「心配要らない」と何度繰り返しても一向に減らなかったパニック買いの背景には、2年前に国民から拒否された野党がいつの間にか与党の一部と手を組んで政権に復帰するというドタバタ劇と、その政権交代で誕生した能力が未知数の新しい内閣を国民の多くが冷めた目で見ており、緊急事態における政府への信頼が非常に低かったことも関係しているでしょう。

なお、8月1日以降は買い出しの際にマスク着用が義務化されています。

“生活必需品” を扱う店舗とは?

“生活必需品” を扱う店舗というのは、日常生活に最低限必要なモノ・サービスを提供している業種です。何が生活必需品なのかという点に関しては、制限令施行直後に大きな混乱が見られ当局の見解も二転三転しました。

例えば、飲食店 (レストラン、コーヒーショップ、屋台等) については、客が飲食をすることはできないものの持ち帰り/宅配用に限って営業が許されており、Grab Food や Food Panda などの宅配サービスも使えました。しかし飲食・宅配関連の業種でも、4月1日以降は営業時間が一律朝8時から夜8時までに制限されました。(参考―The Star:”Ismail Sabri: Eateries, supermarkets to only operate from 8am to 8pm from April 1“)

一方で、アルコール類を専門に扱う店やデザート専門店などは「必需品ではない」とみなされ、店舗としては制限令期間中の営業が禁止。当初許可されていたフードトラックも、人が集まりすぎるということで3月20日以降は営業禁止となりました。(参考―The Star:”MCO: Food trucks told to cease operation“)

自動車修理業については「“生活に不可欠なサービス” ではないものの最低限の営業を続けてよい」業種とされています。ただし、どうしても修理が必要な場合など緊急性のあるものに限られているようで、通常の定期点検等は制限令期間が終わってから行うよう勧められていました。(参考―The Star:”NSC: Police and Rela to crack the whip, plus more on essential services“)

国内や州内の移動

GPS while driving

by Dariusz Sankowski on Pixabay

当初は本則に明記されていませんでしたが、制限令施行前日に警察当局が「マレーシア国内で州を越える移動については最寄の警察署長に申請を提出し、許可を受ける必要がある」と言ったことで大混乱に。3月17日夜には許可を求める人が警察署に殺到したため、本件を再度検討して結論を出すまでこの制限を一時的に無効にすると発表しました。(参考ーThe Star:”Police rescind ban on inter-state travelling“)

その後なかなか公式見解が出なかったものの、3月24日にイスマイル・サブリ国防大臣は、高速道路に設けられた検問において帰省した人が都市部に戻ってくるための通行は許可されないとし、州をまたぐ移動を事実上禁止していると理解できる発言をしました。(参考―The Star:”Ismail Sabri: 95% compliance rate on the sixth day of MCO“) 4月18日付の政府からのSMSでも「制限令期間中は、緊急の目的で警察から許可を受けているのでない限り、州をまたぐ移動は禁止されている」と明記されていました。(政府SMS原文: “Sepanjang tempoh PKP, pergerakan antara negeri tidak dibenarkan kecuali untuk tujuan kecemasan dan perlu memdapat surat kebenaran PDRM.“)

各地で道路封鎖や検問が行われ、制限令のフェーズ4で外出の移動距離 (自宅から10kmまで) に関する制限が緩和されたとはいえ、CMCO終了時までは移動に一定の制限がかけられていました。6月10日以降は、回復のための活動制限令 (RMCO) の施行下で州をまたぐ移動も含めた国内移動がほぼ全面的に許可されました。

公共交通機関

基本インフラとなるサービスは制限されないため、MRT、LRT、バス、モノレールなどの公共交通機関の殆どは運行を続けました。ただし、3月25日以降はダイヤが大幅に変更され、午前中6時~10時、夕方5時~夜10時の通勤時間帯のみの運行となりました。また、MRTやLRTについては通常よりかなり間引いた運行となっていました。(参考―The Star:”LRT, MRT, monorail to start 6am-10am, 5pm-10pm from Wednesday (March 25)“)

なお、クアラルンプール国際空港 (KLIA) とKL市内を結ぶKLIAエクスプレスは、4月4日以降の制限令期間中の運行が休止となりました。(参考―The Star:”MCO: ERL to suspend its services from April 4“)

家の近くの散歩やジョギングなどはOK?

Four people jogging

写真はイメージです

3月19日以降、自宅周辺であったとしても散歩やジョギングが禁止されました。(下に挙げたように、ジョギングをしていた複数の外国人が逮捕された事例も起きています) さらに、人が集まる公園など公共の広場閉鎖となりました。(参考ーThe Star:”Police: Exercise at home, refrain from recreational activities during MCO period“)

4月8日に更新された住宅・地方政府省によるFAQ (よくある質問) では、活動制限令 (MCO) 期間中はコンドミニアムや住民コミュニティの敷地内であっても運動等を行っていはいけないという点が明記され、実際に敷地内をジョギングしている住民の姿を外から見た警察がコンドミニアムの管理事務所まで警告に来た例もありますし、ドローンを飛ばして監視・警戒行うほど徹底した取り締まりが行われました。(参考―Star Property: “MCO Series: KPKT Updates FAQs For Strata Schemes“)

駐在員など外国人が多く住むKLの郊外モントキアラ地区では、3月27日朝に屋外でジョギングをしていた外国人 (日本人4人を含む) が警察に逮捕されました*。最終的にRM1,000の罰金となったようですが、下手な言い訳をしたり言い返したりすると、さらに重い公務執行妨害の罪 (RM10,000以下の罰金または2年以下の刑期、あるいは両方) が適用されることもあり得ます。(参考―The Star:”MCO: 11 men including nine foreigners jogging around Mont Kiara arrested“)

*この事件の背景についてはPRESIDENT Onlineの記事「マレーシアで「ジョギングで日本人逮捕」が起こった現地事情」でも詳しく取り上げられていましたので、興味のある方はそちらをどうぞ。

ガソリンスタンドは閉まるのか?

石油やガスなどの基本インフラとなるサービスは制限されないため、ガソリンスタンドは制限期間中も営業を続けました。

お金が引き出せなくなる?

金融や銀行などの基本インフラとなるサービスは制限されないため、銀行業務は継続しておりATMも利用できました。ただし、銀行によってはMCO期間中に一部支店を閉鎖するところもありました。

病院のお見舞いに行ってもOK?

危篤状態など急を要する状況でない限り、活動制限令 (MCO) の期間中お見舞いは原則禁止となりました

ホテルは閉まるのか?

当初の発表内容ではこの点が触れられておらず、ホテル業界に大きな混乱を引き起こしました。政府はようやく3月18日になって「ホテルや宿泊施設も “不可欠なサービス” の定義に含まれる」と発表し、ホテルの営業は継続することが確認されました。ホテル営業に関する政府の見解が二転三転したことで、滞在中大きな影響を受けた外国人旅行者も少なくなかったようです。(参考―The Star:”Covid-19: Hotels and e-commerce now included in expanded list of essential services“)

※ 延長された制限令においても、保健省大臣名で4月2日付公布の政府官報 (マレー語/英語) 追補「HIS MAJESTY’S GOVERNMENT GAZETTE)」によると、生活に不可欠なサービスとしてホテルと宿泊施設 (9D) が含まれています。

外国人はマレーシアから出国できない?

Departure information board

by wal_172619 on Pixabay

マレーシア人の出国は禁止されましたが、外国人の出国についてはそれ自体が制限されることはありませんでした。(ただし、再入国許可を取得せず出国した場合は戻れなくなる可能性があるので注意。) 

長期ビザを持っている外国人は入国できる?

(2020年9月8日:追記) 感染者が15万人を超えている国のパスポートの場合、MM2Hを含む長期ビザがあっても入国禁止とする措置が9月7日より適用されています。

(2020年12月28日更新) イスマイル・サブリ上級大臣は、7月24日以降再開された入国者全員の強制隔離について「一人当たり約RM4,700 (11万6,000円) かかる」と表明 (発表当時は14日間。12月14日以降は10日間)。これには宿泊費に加え、空港からの移送、食事、セキュリティ、清掃&消毒、医療スタッフのPPE (保護具) などの費用が含まれるとのこと。 マレーシア人の場合は政府が補助するため最大でRM2,100の負担額ですが、外国人は全額自己負担となります。入国をお考えの方は、隔離期間にかかる出費についても踏まえた上で判断するようになさってください。なお、隔離の詳細については現地日本国大使館の情報「マレーシア入国時の強制隔離に関する要件(12月16日更新)」が参考になります。

政府当局は、5月17日以降マレーシア・マイ・セカンドホーム (MM2H) ビザ保有者については再入国を認めると発表しました。ただし、事前に指定されたフォームで入国管理局へのデータ登録を行って再入国許可を受ける必要がある上、新型コロナウイルス (COVID-19) の陰性証明取得が課せられ (注)、さらに到着後は政府指定施設での10日間の強制隔離となります。詳しくは、現地の日本大使館による情報マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)パス保有者の再入国許可(2020年7月22日更新)」をご参照ください。

その他就労ビザなどの長期滞在ビザを保有している外国人の場合、政府当局はビザの種類により入国の可否また必要な手続きをそれぞれ指定しています。ただし、入管関連の規定は短期間で次々に変更が加えられているため、関係省庁に直接連絡する、あるいはホームページを見るなど、行動を起こす前に確実な情報を入手するようご注意ください。現地日本大使館の情報「【新型コロナウイルス】駐在者等の入国手続(2021年3月3日更新)」も参考になります。

シンガポールとマレーシア間の出入国

活動制限令 (MCO) 始まる少し前にシンガポール政府が強化した出入国制限を実施した際は、マレーシアとの国境に関しては「影響が大きすぎる」として制限の対象から外していました。マレーシア政府の活動制限令 (MCO) 施行の際も恐らくその方向で行くのではないかと当初は思われましたが、実際にはより厳しいものとなりました。

数か月間にわたって人の往来がストップしていたマレーシアーシンガポール間ですが、両政府の合意により必要な措置を取った上で対象となる一部人材の往来が8月17日以降再開されています。

運転免許の更新

運輸大臣は3月24日、制限令の期間中に運転免許の有効期限が切れてしまう場合、特例として自動車保険が有効な車については保険証明書 (コピーまたはデジタル) を携帯していれば期限切れの免許で運転してもよいと発表しました。(参考―The Star:”MCO: Insurance coverage needed for those with expired driving licence, says Dr Wee“)

その後、この特例は8月31日で廃止され、期限の切れたマレーシアの運転免許保有者は30日以内に更新するよう求められました。マレーシア人であれば郵便局などで簡単に更新できますが、外国人の場合は基本的に免許証発行官庁であるJPJへ足を運ぶ必要があるのでより面倒となります。

関連記事:「【マレーシア】JPJで運転免許を更新する際のポイント

(2020年10月6日:追記) 日本大使館の申し入れにより、3月18日以降に有効期限が切れた国際運転免許証を持っている日本国籍者についてRMCO期間中は引き続き運転をしてよいとする特例が認められたとのこと。ただし、RMCOが終了した場合は30日以内に免許の更新が必要となります。(参考―在マレーシア日本国大使館公式サイト:「【新型コロナウイルス】有効期限の切れた国際運転免許証での自動車の運転に係る特例について(2020年9月30日))

制限の期限

3月18日から始まった活動制限令 (MCO) は当初3月31日までとされていましたが、規制内容を修正しながら6回にわたる延長を行いながら施行が続いています。日本でもそうですがウイルスの感染状況が今後どうなるかをはっきり見通すのは難しく、状況次第ではさらに制限が延長されたり、一旦緩和された制限が再度適用される可能性もあると考えておいた方がよいでしょう。今後数か月以内にマレーシアへの渡航を予定されている方は、状況が変わる可能性も念頭に今後の当局の発表に十分ご注意ください

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まとめ

3月上旬でも週末の飲食店は子連れでにぎわっていましたし、夜中までバーやパブで楽しそうに騒いでいる (当然マスクもなし) 人たちも少なくない状況で、3月に活動制限令が出される直前には政財界から「マレーシア人はあまりにも普通の生活を送りすぎており、このままでは感染被害が相当拡大する」と懸念する声が数多く上がっていました。

制限令が施行される前日夜には、ワインやビールを飲みながらまるで送別会のような雰囲気のグループも見かけました。「明日からしばらく会えないけど、みんな元気でな」なんてことを言いながら、テーブルを囲んで大声で笑ったり肩を組んだりハグしたり。そういうことしてるから感染拡大のリスクが高くなるわけなんですが、たぶん普段なら飲まないであろう量のアルコールを飲んで酔っ払い、妙にハイテンションで笑い合っている姿を見ると、マレーシア人がみんな口にはしないけれども持っている漠然とした不安が強く滲み出ているように感じました。

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活動制限令の実施により、最初の2週間では爆発的に増加せず何とか踏ん張り、次の2週間では増加しかけながらも何とか持ち直し、その次の2週間ではようやく2ケタ台に減少しました。その後不法滞在者の拘留施設での集団感染などで一時的に3ケタの新規感染者が出たこともありましたが、6月半ばから8月半ばまでは1ケタ台の日も多くありました。

しかし、9月に入ると状況が一変。サバ州で始まった感染が広がりを見せ始めたところにタイミング悪く州選挙が重なり、延期せず投票を実施した結果マレーシア全国へ一気に広がることとなりました。これは、選挙のために各地から出身地であるサバ州へ戻ったサバ州民が投票後にまた散っていったことが大きな原因の一つです。選挙活動を通じて複数の議員が感染し、各地を移動しながら大勢の人と会うのが仕事である政治家を通して政界や他の分野にも感染が拡大する結果になりました。

この記事の加筆・修正時点 (2020年10月9日) で、半島マレーシア側でも条件付き活動制限令 (CMCO) が再施行されるエリアが複数出ており、今後さらに首都圏を中心に感染の再拡大が懸念されています。状況は毎日変わっていきますので、在住邦人の方は地元のニュースを定期的にチェックするなど動向に十分ご留意ください。

新しく規制が実施される際にも、ギリギリまで詳細が分からないことがよくあります。正確な情報を入手しつつ落ち着いて行動し、真偽を確認できない情報を転送したりされないようご注意下さい特に知り合いからWhatsApp等で回ってくるメッセージは、誰が最初に発信したのか情報源が確認できないので注意しましょう!(※ マレーシア政府は、フェイクニュースの拡散には転送した人も含めて厳しい処罰で対応することがあります。)

(編集後記):本記事では出来るだけ正確な情報をお伝えするよう努力していますが、今般の状況を考えると急に制限や法令の内容が変わることもあり得ます。重要な決定に際しては、必ず公的機関による最新情報をご確認ください。

(2020年3月25日)誤字修正
(2020年4月2日)記事加筆修正、レイアウト修正
(2020年10月9日)記事加筆修正
(2020年12月28日)テキスト追加・修正


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執筆者:


  1. 齋藤晶子 より:

    大変参考になりました。ありがとうございます。

    • Gaku より:

      齋藤 さま、
      コメントありがとうございました。日本人で影響を受けている方も少なくないようですね。
      当ブログでもできる範囲で情報を発信していきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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東南アジアに住んで21年。知っているとコーヒーがもっと楽しめる豆知識をはじめ、さまざまなコーヒー文化と地元情報を現地から発信しています。

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40代の通訳者です。
マレーシアのクアラルンプール在住。

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毎朝、妻と二人でコーヒーを飲むのが日課。でも、珈琲ネタを語りだすとサラリと流されます。