車社会のマレーシアで、いつも頭を悩まされるのがパーキング。大型商業施設やホテルなら駐車場がそれなりの台数そろっていますが、混雑するショップロットエリアなどでは駐車スペースを見つけるのは大変です。
そんな中、都市部の特にバーや飲食店などが集まるような夜間に混雑する繁華街エリアでは、通常の駐車料金とは異なるシステムが存在することがあるので注意が必要です。
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“場所代”のような駐車料金
通常の路上パーキングというのは、マラッカなどの一部観光都市を除いて平日の夜間から翌早朝/日曜・祝日は駐車料金が原則無料です。しかし、KL中心部や、Bagsar、Sri Hartamas など夜間に人でにぎわうエリアの一部では、正規の駐車料金が無料の時間帯に「裏の駐車料金」が存在しています。
こうしたエリアでは、夕方になると何人もの怪しい男が路上をウロウロしながら空いているスペースに車を呼び込む姿を目にします。これは単に親切で教えてくれているわけではありません。こうした呼び込みには何かしら裏社会の組織が絡んでおり、車を停める代わりにいわば“場所代”を払う必要があるのです。
通常だと1時間で1リンギ程度の路上駐車料金ですが、こうした呼び込みの場合は大抵1回10リンギが相場となっています。そもそも本来は無料の時間帯ですし、3時間ほど駐車して飲食をすると考えた場合、昼間の正規料金と比べても3倍以上高い計算です。自分たちの土地でもないところで、そこに停めた車から勝手に駐車料金を徴収しているわけですが、もしこちらが「今は無料の時間帯だ。お前らに払う筋合いはない」と言い張ってお金を払わないとどうなるのでしょうか? その場合、停めている間に車にキズをつけられる、タイヤをパンクさせられる、サイドミラーを折られる、車やバイクで前を塞がれて出られなくなる、などの嫌がらせを受ける可能性が高いと覚悟しておく必要があります。
警察が介入してくれる案件ではない
「じゃあ警察を呼べばいいじゃないか」と思う方もいるかもしれません。しかし、こうした違法な“場所代稼ぎ”はお上である役所や警察も黙認しているところがあり、目をつぶってもらえるよう決定権を持つ人物にはそれなりの見返りを渡していることが多いとも言われています。ですから、警察も本気で対応はしてくれないと考えておいた方がよいでしょう。(たまに見せしめ的な一斉検挙をやって新聞記事になりますが、数日姿を隠した後ですぐに復活します。これも、恐らく事前に裏で話がついているのではないかと思います。)
そのため、地元のマレーシア人もこうしたエリアでは車を下りるなり素直に10リンギを渡すことが多く、この暗黙の了解が守られている限り問題は起きません。日本人としては「なんで無料の時間帯にお金を払わないといけないんだ」と感じるかもしれませんが、ゴネたところで得なことなど一つもありません。自分と車のどちらかが痛い目に遭うのがオチです。また、トラブってから慌てて払おうとした場合は10リンギでは済まないでしょう。そういうものだと諦めて最初から払うか、事前に分かっている場合は自分で運転せずにタクシーやGrabを利用するようにしましょう。
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