マレーシア地元情報

マレーシアで運転するなら注意したい 5つのポイント

投稿日:2019年6月16日 更新日:


by Sarah Browning on flickr

(2020年1月13日:追記) 本日早朝、バドミントン世界ランキング1位の桃田賢斗選手やコーチらを乗せていたバンが追突事故を起こし、桃田選手や同乗していた世界バドミントン連盟関係者のイギリス人を含め4名がけが、運転手が死亡したというニュースが入ってきました。

事故が起こった高速道路は、MEX (Maju Expressway) というクアラルンプール国際空港 (KLIA) へ向かうハイウェイで、乗用車に加え大型トラックもよく走っている道路です。マレーシアの高速道路では、突然の渋滞や立ち往生している故障車、また交通の流れよりかなり遅く走っている大型車も少なくないため、今回のような追突事故は日本よりもかなり頻繁に起こっています。事故が起きた早朝6時頃であればまだ真っ暗な時間帯で、速度差があった大型タンクローリーに気づくのが遅れて追突したのかもしれません。

在留邦人や旅行・出張でマレーシアに来られるみなさんも、後席でもシートベルトをしっかり締めるなど、車の安全には十分ご注意ください。今回事故に遭われた方々の早期の快復を願うと共に、亡くなられた運転手に哀悼の意を表します。

かつてと比べると都心部で公共交通機関が整備されてきてはいるものの、地元の人たちのほとんどが車を所有していることからも分かるようにまだまだ車社会であるマレーシア。日本人がマレーシアで生活する上でチャレンジとなることの一つが、車の運転です。この記事では、マレーシアで運転するなら知っておきたいポイントを5つピックアップしてお伝えします。

ラウンドアバウト

by synx508 on flickr

日本語では「環状交差点」とも言いますが、マレーシアの道路にはこのラウンドアバウトが数多く設置されています。日本では比較的なじみが薄いため、最初はどうすればいいのか分からず戸惑うこともあるかもしれません。

覚えておくべき基本ルールは「向きは時計回り」、「中を回っている車が優先」の2点です。ラウンドアバウトから脱出する時には、回りながら目指す出口の少し手前で左ウインカーを出します。ここでウインカーを出し忘れると、自分の左側に別の車が寄せてくるなどして出られなくなることもありますし、逆にあまり早く出しすぎると一つ手前の出口で脱出すると勘違いされますので気をつけましょう。もし出口をミスった場合は、落ち着いてもう一周すればOKなので焦らずに。ただし、グルグル回っているうちに方角を見失わないよう注意して下さい。

合流&車線変更

by Lynac on flickr

日本の道路では、車の流れが悪い中で合流する際は交互に譲り合う、また後方から優先道路を走っている車が迫っている場合は先に行かせてから合流するなどの基本ルールが守られていますが、マレーシアは基本的に「入ったモノ勝ちという感覚で運転している人がほとんど。

渋滞時の合流など「1台でも入れたら損をする」とばかりに、後ろの車が自分の前に絶対入られないようセンチ単位で間を詰めてくるのはいつものことです。普通は前に合流してくる車がいれば減速するものですが、マレーシアでは逆にかなりの確率で加速してきます。そのクセ運転技術が伴っていないドライバーが多いので、車間を詰めすぎたあげく追突することも日常茶飯事。前に入れさせまいと明らかに強引な動きをする車は先に行かせて、その後ろで合流した方が厄介なもらい事故を避けるという意味でも賢明でしょう。ただし、あまり遠慮しているといつまで経っても合流できませんのでその点もご注意を。

また、きちんと加速しないまま合流車線からフラ~っと走行車線に出てくる車もたびたび見かけます。明らかな速度差があっても気にせず前に割り込んで来るドライバーが少なくありませんので、自分が優先道路を走っているからといって油断しないようにしましょう。

似たような点ですが、かの有名な「岡山走り*」のごとく車線変更や右左折の際にウインカーを出さない傾向も見られます。特に車線変更については、後方確認などロクにしないまま移動してくる車が多いので十分注意してください。(ただし、慣れてくると「・・・来るっ!」と“車線変更のオーラ”を感じ取れるようになります(笑))
*岡山では「ウインカーは初心者が出すものでダサい」という考え方から、使わない人が多いと言われる。別称「岡山ルール」。

明らかに周りを確認しないまま隣や前の車がスゥーっとこちらに幅寄せしてきた場合は、クラクションを鳴らして自分の存在をアピールすることも時には必要です。また、二つの車線をまたいだままどっちつかずでフラフラ走っている車 (そのほとんどはスマホをいじっている) もよく出没しますので、追い抜く必要がある時はまず軽くクラクションで警告した方が無難でしょう。

SmartTAG (スマートタグ)

highway toll plaza

by hassan saeed on flickr

マレーシアの有料道路の料金所にも、いわゆる日本のETCのような自動料金収受システムを導入した専用レーンがあります。SmartTAG (スマートタグ) という機器を持っていると使えるこのレーン。確かに便利なんですが、問題はかなりの確率でバーが開かないということ。日本のETCにおける通信エラー率は、約0.005% (2万台につき1台) から0.01% (1万台につき1台) 程度と言われており非常に精度の高いシステムなわけですが、マレーシアの SmartTAG は感覚的には「10台に1台ぐらい引っかかっているんじゃないか」と思うほど、バーが開かず立ち往生している車を頻繁に見かけます。

これほど高い確率でエラーが起きる理由としては、SmartTAG が手のひらサイズの携帯型機器でありETCのように車に固定して取り付けられていないことが挙げられます。

スマートタグ by eijimurakoso on flickr

フロントガラスにくっつける形のホルダーもあるものの、SmartTAGをつけたままにしておくと現地では駐車中に車上荒らしにあう可能性が大。そのため多くの人が普段はダッシュボードなどにしまっておいて料金所を通過する時だけ手に持って掲げており、その際にカードがちゃんと挿入されていなかったり、掲げた時の向きが悪かったり*、SmartTAG を取り出すのに手間取って間に合わなかったりと、まあ色々なトラブルが起こるわけです。
*SmartTAG は赤外線通信を採用しているため、送受信部がゲート上部の読み取り機に向いていないと通信エラーが起きやすい。日本のETCはより安定した無線通信方式が採用されている。

日本ではETCレーンに減速せずかなりの速度で突っ込む人が多いですが、それは通信エラーでバーが開かないなんて滅多に起こらないETCの高い信頼性があってのこと。いつ前の車や自分の車が引っかかるか分からないマレーシアの SmartTAG レーンで同じことをやると、追突・接触事故を起こすのは時間の問題です。日本のETCに慣れてしまっている方は、料金所は何かあってもすぐ止まれる程度に徐行して通過するという点を肝に銘じて運転するようおすすめします。(ETCでも本来はそうなんですけどね)

もしバーが開かなかったら
単なる信号の送受信のエラーであれば、後方確認した上で一旦車を2~3mほどバックさせてから再度進めば開くことがほとんどです。

または、ゲートに「Touch’n Go」と表示されたパネルがあれば、カードを取り出して直接パネルにタッチすることでもバーが開きます。(ただし、パネルがあってもTouch’n Goの機能がオフになっている場合もある)

それでもダメなら、ハザードランプを出して係員が来るのを待ちましょう。一番最悪なのは、そもそもカードの残金がなくなっていた場合です。そうなると、10mほどバックした後、車がひっきりなしにやってくるゾーンを横切りながら反対側の有人ゲートまで大移動するハメになりますので、Touch’n Goカードのお金は余裕を持って入金しておきましょう

安全確認

教習所では「安全確認はミラーだけでなく目視でも行うように」と教えられますが、実際に免許を取った後もそれを守っている人はバスやタクシーの運転手でない限り少ないでしょう。しかし、マレーシアで運転すると目視での後方確認がいかに大切かを実感させられます。

その主な原因はバイクです。マレーシアにおけるバイクの運転マナーはかなり無謀といっても言い過ぎではありません。信号無視はもちろんのこと、直進する車を左から追い越した後に前を横切る超大胆な右折、後方確認ゼロのまま一気に数車線の瞬間移動、MotoGPかと思うほど幹線道路でフルバンク、「あなた白バイですか?」と言いたくなるぐらいなぜか車の死角に入りこむ等々、あり得ないところから突然出没するバイクをミラーだけでは捉えきれないのです (同じく車も予想しない動きをすることがしばしば)。こうした道路事情の中で確実に周囲の状況を把握するため、「カッコ悪い」などと思わずミラーに加えてしっかりと目視でも安全確認を行いましょう

速度取り締まり

日本の速度取り締まり by 100yen

マレーシアでは日本のように固定オービスが設置されているのは高速道路の一部区間に限られており、ほとんどは警察官が不定期に行う定置式レーダーによる取り締まりとなっています。ちなみに日本ではどのカー用品店でもレーダー探知機なる便利なモノが手に入りますが、マレーシアでは基本的に入手できません*
*地元の人が言うには車両にレーダー探知機を付けること自体が違法で、見つかったらスピード違反どころじゃない罰則を受けるんだとか。

一般生活道路ではシートベルト検問は頻繁にあるもののスピード取り締まりは滅多になく、ネズミ捕りのほとんどは高速道路・有料道路またはスピードの出やすい幹線道路で行われています。速度取り締まりの危険性が最も高いのは、道路をまたぐ陸橋の下です。取り締まりをする警察官 (現認係) はそれなりの長時間にわたり計測地点にいるわけですが、何せ熱帯気候のマレーシア。猛暑の炎天下でやるより陰となる橋げたの下でやる方が楽に決まっています。また、計測相手の視界から身を隠しやすいというのも、陸橋の下で取り締まりを行う理由の一つと言えるでしょう。高速道路や幹線道路で陸橋が見えてきたら、自分が何キロ出しているかチェックする習慣を持っておいた方が安全です。

また、高速道路では工事などで通常より制限速度が下げられている場合、工事区間終了直後にわざと待ち構えていることがあります。「工事区間は終わったけど、制限速度はまだ戻ってない」というトリックを利用して、車線規制が終わったからとつい加速した車をハメることを狙った取り締まりです。ちなみに、日本と違って高速道路でも8~9km/hオーバー程度で捕まりますのでご注意を。

交通量が非常に多い道路ではその場で検挙するのではなく後から車の登録先住所に反則金納付書が送られてきますが、それ以外の場合は計測地点の少し先の道路を検問のように封鎖して、違反車両はめでたく“サイン会場”=道路脇 へご案内となります。この場合、日本と同じく対向車がライトのパッシングで教えてくれることも多いので頭に入れておきましょう。

もし捕まってしまったら
相手が外国人だと分かると罰金を吹っかけたあげく、安くする代わりにワイロを出せと要求してくる悪質な警察官も残念ながら存在します。おかしいなと感じたら、ためらわず「Give me summon. (ギブ ミー サマン)」=“反則切符を切って下さい” とはっきり言いましょう*。向こうが先に賄賂をほのめかしてきた後にこちらから正規の反則チケットを要求すると、後から収賄の容疑で通報されることを恐れてそのまま行かせてくれることもあります。(反則切符には対応した警察官本人の名前を書く必要があるため) いずれにしても、袖の下で解決するのは違法行為ですのでご注意下さい。

*スピード違反の反則金は違反速度に関係なく一律RM300で切符が切られますが、超過速度が40km/h以下の場合は早く納付すれば割引になります。制限速度より40km/hオーバーの違反だと、即日納付したとしても罰金の額は変わりませんのであしからず。

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日本での常識が通用しないことも多いマレーシアでの道路事情ですが、上に挙げた点をお伝えすることで少しでもみなさんが現地で運転する際のリスクを減らすことができれば幸いです。

(2019年6月17日:テキスト修正)


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