珈琲エッセイ

コーヒーの生産処理―ナチュラル ⇒ 長所と短所は?

投稿日:2017年12月6日 更新日:


by counterculturecoffee

コーヒーの生産処理について

木から収穫したコーヒーが生豆になるまでには、果肉の除去、取り出した豆の乾燥、さらに規格に合わせた選別と、様々な工程を経る必要があります。こうした作業工程を生産処理と言います。 (「精製」と呼ぶこともある。)

この生産処理にはいくつか異なった方法がありますが、最も一般的なのが水を使う ウォッシュド (水洗式、ウェットプロセスとも言われる) 、そしてドライプロセスとも呼ばれる ナチュラル です。また最近では、コーヒーチェリーから果肉を取り除いた後ミューシレージ (粘液質) が残ったまま乾燥させる、ハニープロセス や パルプドナチュラル と言われる方法で処理した豆もよく目にするようになってきました。

こうした生産処理に関しては、これまで生産地ごとに大体同じ方法が用いられてきましたが、その状況に少しずつ変化が見られています。

例えば、中央アメリカでも屈指のコーヒー生産国であるグアテマラは、主にウォッシュドで処理された高品質の豆で知られてきました。しかし最近では、甘さやフルーティーさが強く引き出されるナチュラルやハニープロセスで処理される豆が増えており、今後も当面はこの傾向が続くと考えられています。

ウォッシュド vs ナチュラル ―その長所と短所

ウォッシュドプロセス

ウォッシュド で処理された豆は、一般的にクリーンで雑味のない風味ときれいな酸が特長で、豆が持つ個性をクリアに表現する仕上がりとなります。この方法では、まずコーヒーチェリーを水槽に入れた段階で不良豆が浮いてくるので、そうした欠点となる豆を取り除きやすい=製品としての豆の品質が高くなるという利点があります。また、処理工程でバラつきがでにくく品質を一定にしやすいことから、カップごとの味のブレも少なくなります。

ナチュラルの天日乾燥

一方、収穫したコーヒーチェリーをベッドで乾燥させる ナチュラル では、混入した不良豆や異物をきれいに取り除くのは難しく手間もかかります。また、ある程度選別するとはいえ、収穫したコーヒーチェリーは大きさも完熟度も少しずつ異なりますし、乾燥の工程でもすべての豆を全く同じように乾燥させるのは無理な話です。そうして処理されたコーヒーは、極端に言えば豆の一粒一粒がそれぞれ微妙に違った風味を持つわけですから、バランスや味わいの透明感という点ではどうしてもウォッシュドに分があります。

そのため、カップのクリーンさや風味のバランスが重視される品評会等では、やはりウォッシュドの豆が高い評価を受けやすくなり、逆に処理工程の関係で均質さを保ちにくいナチュラルは評価が伸び悩むという傾向があるようです。消費者に届く段階ではウォッシュドとナチュラルにほとんど値段の差はありませんが、買い付けの時点では、ウォッシュドと比べてナチュラルが低く評価されることが多いというのが現状です。

とはいえ、ナチュラルの豆が持つしっかりとしたボディや鮮烈な風味というのはウォッシュドでは中々出せないものであり、高品質のナチュラルは決してウォッシュドに劣っているわけではないのです。

こうした状況を踏まえ、一部の専門家の間にはウォッシュドとナチュラルを同じ基準で評価するべきではないという意見もあるようです。言ってみれば、「日本酒と焼酎を同じ基準で飲み比べて評価するのはフェアじゃない」とか、「同じ評価方法で豚骨ラーメンと醤油ラーメンを比べて優劣をつけられるわけがない」というのと似たような意味合いでしょうか。

スポンサーリンク
↓民泊事業を合法的に運営するためのサポートツール

ナチュラルとハニープロセスの今後

by Niels Van Iperen

このように、より正当な評価を期待されているナチュラルのコーヒーですが、実は生産者の側から見るとナチュラルというのは両刃の剣でもあります。

まず、手作業に頼る部分が多く労働者の作業精度が低いと製品の仕上がりに直結することから、品質管理が難しいという問題があります。さらに、比較的コントロールしやすいウォッシュドの工程に比べ、ナチュラルは天候や外的要因からの影響を受けやすく、一歩間違えるとコーヒーチェリーが発酵しすぎてしまい売り物にならなくなるリスクもあります。そのため、ナチュラルで高い品質のコーヒーに仕上げるには、状況に応じて適切なタイミングを決めるため職人技ともいえる熟練の勘と判断力が必要だと言われています。

工程の性質上、雨が多かったり湿度が高かったりする地域には不向きな生産処理法であるナチュラル。しかし、大量の水を使用し大規模な設備が必要なウォッシュドと比べると、ナチュラルやハニープロセスは、手作業が多く手間はかかるものの設備は比較的少なくて済む上、水の使用や排水の問題も少ないため環境への負担を抑えられるという利点があります。

今後、高品質のナチュラルは世界的な需要がより大きくなることが見込まれています。農園周辺の気候条件が悪くなく、かつ生産品質を高めるため必要な人材とトレーニングにしっかりと投資できるのであれば、ナチュラルやハニープロセスの豆は生産者・バイヤー双方にとって大きなビジネスチャンスとなることでしょう。また私たち消費者にとっても、今までとは違った生産処理による豆が流通することで、これまで味わったことのない風味を持つコーヒーに出会う楽しみが増えるのです。

スポンサーリンク
↓コーヒーモルティブ下北沢が厳選!ナチュラル製法のニカラグア産コーヒー

驚きのストロベリーフレーバー!ニカラグア モランゴ【500gパック】ナチュラル製法の最高傑作!SPECIALTY COFFEE!

ナチュラルのテイスティングノート⇒「「ナチュラルプロセス」一覧

ハニープロセスのテイスティングノート⇒「「ハニープロセス」一覧

[参考資料]
(2017年11月17日) “How Naturals & Honeys Are Changing The Face of Guatemalan Coffees”, The Perfect Daily Grind. URL: https://www.perfectdailygrind.com/2017/11/naturals-honeys-changing-face-guatemalan-coffees/?utm_source=Website+Subscribers&utm_campaign=f360b4a093-Jan_3_2017&utm_medium=email&utm_term=0_e5c3eb4dc6-f360b4a093-233324053 (参照日:2017年12月5日)


スポンサーリンク

ITフリーランス

ITフリーランス

-珈琲エッセイ
-, , ,

執筆者:


Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

関連記事

カフェラテやカプチーノのミルクってどうして泡立つの?

熟練のバリスタが淹れたカフェラテやカプチーノは、エスプレッソにしっかりとした甘みのあるフォームドミルクが混ざりあって本当に美味しいものです。また、きれいなラテアートを描く際にもきめ細かなフォームドミル …

今注目のコーヒーの香り芳香剤&アロマ 7選!

「部屋でいつもコーヒーの香りを楽しみたい」という方は少なくないはずですが、いざお店でコーヒーの香りのアロマや芳香剤を買おうと思っても中々見つからないのが現状です。(参考記事「コーヒーの芳香剤がなぜか売 …

コーヒー

コーヒーの香りは好きですか?嫌いですか?

飲み物としてのコーヒーには当然好き嫌いがありますが、なぜか「コーヒーの香りが大嫌いだ」という人は意外と見かけません。文化や人種の違いも超えて世界中で愛されるコーヒーの香りについて考えます。

「最高級コーヒーといえばブルーマウンテン!」⇒「え、違うの?」

「一番おいしくて高級なコーヒーはブルーマウンテン」って何となく思っていませんか?
確かに値段はずば抜けて高いブルーマウンテン。なぜ高いのか、なぜ日本以外の国ではほとんど見かけないのか、その理由を探ります。

「コーヒーのカッピングって何をするの?」⇒ 体験してみた

by Paul Jackson 目次1 カッピングとは?2 カッピングの手順2.1 <カッピングを行うときの注意点>3 カッピングをすることのメリットとは?4 カッピング使用豆のロースター カッピング …

このブログについて

東南アジアに住む筆者が、コーヒーコラムやテイスティングノート、また競技会や展示会等のイベントなど、コーヒー文化と地元の情報を現地から発信していきます。


管理人: Gaku

30代の通訳者です。
マレーシアのクアラルンプール在住。

[好きなモノ]コーヒー、写真、バイク、温泉、ラーメン

毎朝、妻と二人でコーヒーを飲むのが日課。でも、珈琲ネタを語りだすとサラリと流されます。