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コーヒーエッセイ

リストレットとエスプレッソは何が違う?

投稿日:2020年8月19日 更新日:


Espresso in a demitasse

リストレットって何?

ラテ、フラットホワイト、カプチーノ、マキアート、ロングブラック… エスプレッソをベースにしたコーヒードリンクには色々ありますが、ここに挙げた名前はカフェのメニューなどでもよく目にします。

しかし、リストレットと聞いてすぐに何のことか分かる方は少ないのではないでしょうか。

まず、リストレット (ristretto) という名前は、「少ない」「制限された」といった意味を持つイタリア語から来ています。その語の通り、リストレットは元々少量のエスプレッソ (約30~35ml) よりもさらに少ない量で提供されることが多いドリンクです。

Wikipediaの説明では、リストレットとは「通常の量のコーヒー豆を通常の半分の量の水で抽出するショートショットのエスプレッソである」とされています。この説明では、要するに“エスプレッソを抽出する途中に半分でやめればリストレットになる”と言っているわけで、同様の説明をしているコーヒーブログ等や実際そうやって抽出しているカフェもありますが、厳密に言うとこれは正確な定義ではないようです

リストレットと呼ぶためには、本来「通常より細かいメッシュ (挽き具合)」「通常より少ない時間で抽出」「通常より少ない量を抽出」の3点が関係してきます。(エスプレッソを基準とした場合) そのため、単にエスプレッソを途中でやめたものでは、本当のリストレットの風味にはならないと言われています。

通常のエスプレッソとの違いとは

リストレットはカテゴリーとしてはエスプレッソですが、注文する際には「リストレット」と「エスプレッソ」の両者ははっきり区別されるものです。日本酒における「あらばしり」、焼酎における「初垂れ (ハナタレ)」を他と区別するようなものですね。(筆者の個人的見解です)

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風味の違い

エスプレッソと比較すると、リストレットは同じ豆を使っていても酸味や苦味が少ない風味となります。これは、エスプレッソが25秒から30秒かけるところをリストレットでは約15秒という短い抽出時間によるもので、通常であれば抽出の後半で出てくる豆の持つ酸や苦み等の成分があまり含まれないために、それが風味の違いとなって表れるわけです。実際に初めてリストレットを飲んだ時は、滅茶苦茶濃いのではないかという当初のイメージと違ってほとんど苦味を感じなかったことにまず驚きました。

一方で、一般的にリストレットでは甘さやフルーティーさを強く感じます。抽出の後半で出てくるキャラメル系の香りをリストレットではあまり感じないため、それ以外の風味が余計に強調されるということもあるでしょう。

ちなみに、筆者が好きなあるカフェのリストレットは、第一印象が塩辛い。もちろん塩なんて入っていませんが、味覚として明らかなしょっぱさを感じるのです。同じ豆をエスプレッソで飲んでもそんな風味はほとんど感じられず、バリスタお勧めの飲み比べをしてその違いにびっくりした記憶があります。

テクスチャーの違い

リストレットは抽出に使うお湯の量が少ないため、エスプレッソよりも少しとろみのあるテクスチャーとなります。抽出量が少ないということは、相対的にカップの中のクレマ (泡) の比率が高くなるので、口に入れると明らかな差を感じられます。

リストレット向きの豆

全体的なバランスという面では通常のエスプレッソの方が若干優れていますが、リストレットは豆が持つポテンシャルをフルに出し切る抽出法ではなく、風味特性の一部をより強調して味わえる飲み方と言えるかもしれません。

みずみずしい酸が特徴の豆を使うと極端に酸っぱく感じてしまうことがあるため、一般的には酸の控えめな豆の方がリストレットには向いていると言われています。その点では、元々酸味の少ないブラジルやインドネシアなどの豆がリストレット向きの豆として候補に挙げられますが、その他ニュートラルな風味特性の豆も悪くないでしょう。また、通常は“きれいな酸”が出るとして評価される高い標高で栽培された豆よりも、この場合はやや低い標高で育てられた豆の方がよいという専門家の意見もあるようです。

また、同様の理由で生産処理 (プロセス) についても、ナチュラルやハニープロセスなどの方が酸がくっきりと表れるウォッシュトよりも向いているとされます。

いずれにしても、飲んでみるまで何とも言えないというのが正直なところではないかと思います。エスプレッソでもリストレットでも、苦みの違いこそあってもあまり風味の違いは感じられないものもあれば、上に書いたような全く違うキャラクターが顔を出すこともあります。このあたりは、ぜひバリスタに聞いてみてリストレットにお勧めの豆を紹介してもらいましょう。

リストレットの今後

家庭やオフィスで急速に普及しているあのネスプレッソ (Nespresso) でも、一応「リストレット」のラインアップが入っているので、今後もう少し知名度は上がっていくかもしません。これから先、リストレットがいきなり爆発的な人気を得るドリンクになることはないかもしれませんが、エスプレッソとは違った風味を楽しめる美味しい飲み方の一つであることは確かです。

エスプレッソのような風味の複雑さは少ないものの、ある意味でコーヒーの“一番搾り”を味わえると言ってもよいリストレット。どこのカフェでもやっているわけではないので、もしメニューに見かけたらぜひ一度味わってみてくださいね。

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(2020年8月20日:テキスト追加・修正)

[参考資料]
“What Is a Ristretto?”. Perfect Daily Grind. URL: https://perfectdailygrind.com/2020/06/what-is-a-ristretto/ (参照日:2020年8月19日)


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