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マレーシアは自然災害がないって本当?
マレーシアは世界的にみると自然災害の比較的少ない国ではありますが、熱帯気候のため洪水など雨にかかわる災害は頻繁に起こっています。その中でもとりわけ危険なのが土砂災害です。
ご存知の方もいると思いますが、マレーシアでは1993年に「ハイランド・タワー (Highland Tower)」というクアラルンプール北部の高台地区に建つコンドミニアムが土砂崩れにより一棟丸ごと横倒しに倒壊し、50名近くの犠牲者を出す大惨事となりました。その記憶は地元の人たちの間にも深く刻まれており、ローカルにとっては恐らくがけ崩れが一番恐ろしい災害として今でも認識されているのではないかと思います。その一方で、ハイランド・タワーの事故後もあいかわらず環境や安全を無視した宅地開発は続けられており、高台に建つ住宅やコンドミニアムの中には大きな危険が潜んでいるものも少なくないと言われています。
そんな中、マレーシア公共事業省 (Ministry of Works) が市民に向けて土砂災害の前兆にどのように気づくことができるか情報を発信していますので、そこから幾つかポイントをお伝えしたいと思います。
自宅周辺で気を付けること
床や基礎、その他建物の構造部分等にひび割れができる
マレーシアの場合、日本の住宅のように耐震構造でもなければ仕事が雑なことも多いので、色んなところに多少のひびが出るのは日常茶飯事です。それでも突然ひびが広がったり、今までなかったところにひびが生じたりするなら要注意と言えるでしょう。
斜面にある構造物などが普段の位置から動いている
家が高台にある、または家の裏が斜面になっている場合は、そこにある階段や柵などが普段の場所から動いたり倒れたりしていないか注意しましょう。もし異変があった場合は地盤がずれている=がけ崩れの前兆の可能性があります。
ドアや窓がいきなり閉まりにくくなった
窓やドアがちゃんと閉まらないというのは元々の建付けがよくない住宅の場合よくあることですが、今まで大丈夫だったものが突然閉まりにくくなったりすき間が空いたりした場合は注意が必要です。
石垣や擁壁が膨らんでいる
石垣や擁壁が膨らんでいる場合、中の土が水を含んで膨張していたり何らかの理由で土圧が高まっていたりする可能性が高く、そこから崩壊する危険性があるため要チェックのポイントです。
斜面の状態で気を付けること
いきなり水が湧き出す
今までなかった箇所 (特に斜面の下部) からいきなり水が湧き出てくる場合、土中の水分量が急激に増えていると考えられ、土砂災害の危険性が高まっていると言えます。
亀裂が入っている
斜面に幾つもの亀裂が生じた場合、土砂災害のリスクは非常に高くなっていると考える必要があります。また、斜面の状態がよく見えなくても健康な木が倒れている様子が確認できるようであれば、一部地盤が滑り出している可能性があり災害の危険度が高まっているといえるでしょう。
土砂災害に備える―取るべき行動とは
災害が起こる前
・普段から土砂災害の前兆に十分注意を払う
・前もって家族と避難計画を立てておく
・必要な物を入れた避難バッグを用意しておく
・当局からの災害警報に留意する
土砂災害が発生したら
・可能な限り近所の人にも危険を知らせる
・避難する。がけ崩れの進路から離れるよう横に逃げる
・避難が間に合わない場合、体を丸めて頭部を守る体勢をとる
災害発生後
・ケガがないかどうか確認し、負傷している場合はすぐに医療処置を受ける
・二次災害の危険があるため、災害現場には決して近づかない
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災害に遭わないに越したことはありませんが、いつ自分の身に降りかかるか分からないのが災害です。インフラも行政も災害に強いとは言えないマレーシアの場合、日本ではすばやく救助・復旧活動が行われるレベルの被害でも現場が大きく混乱することが考えられます。マレーシアに限らず海外に在住の方は、母国とは状況が違うということを意識した上で緊急時にどんな行動を取るべきか前もって家族でしっかりと話し合い、自分の身は自分で守る備えをしておきましょう。
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[参考資料]
(2018, November 14). Check for Signs of Landslides in Your Neighbourhood. The Star, p. 5.