2020年末から21年初めにかけてMCO 2.0が施行された後、徐々に規制が緩和されて一旦は一部地域を除きCMCOもしくはRMCOに移行。しかし、ジリジリと再び感染が拡大傾向になっていたところへ断食月のラマダンで人の接触が大幅に増加し、新規感染者も急増。5月6日からは再び首都圏も含めたMCO 3.0が施行されました。それでも感染拡大は止まらず、6月1日以降はFMCO (Full-MCO: 完全ロックダウン) を実施することに。
しかし、ロックダウンを1か月続けても新規感染者は明らかな減少傾向にはなりませんでした。ついに当局は、ダントツで多い感染者を出しているセランゴール州の大部分と首都クアラルンプールの一部を、7月3日以降もっとも厳しいEMCO (強化された活動制限令) の対象にすることを決定。同時に、感染が一定以下に抑えられている州から順に制限を緩和していくことも発表されました。
「MCO」→「FMCO」と呼び名が変わってきた制限令ですが、今後どのように経済・社会活動を再開していくのかを示した「国家回復計画 (NRP)」なるものを6月15日に発表して以来、「フェーズ1(第一段階)」から「フェーズ4(第四段階)」までの各フェーズがこれまでの呼び名に取って代わりました。
「国家回復計画 (NRP)」フェーズ適用状況 (2021年11月8日更新)
フェーズ1/第一段階 (完全ロックダウン):
フェーズ2/第二段階 (経済・社会活動における制限の一部緩和):入院例 (症状あり) が人口10万人あたり6.1例以下/ICU使用率50~70%以下/成人人口のワクチン完全接種率が10%以上
フェーズ3/第三段階 (一部を除く経済・社会活動の再開):入院例 (症状あり) が人口10万人あたり3例以下/ICU使用率が一定以下/成人人口のワクチン完全接種率が一定以上
ケランタン (Kelantan)、サラワク* (Sarawak) の両州
*南部地域を除く
フェーズ4/第四段階 (経済・社会活動の全面再開):入院例 (症状あり) が人口10万人あたり1.3例以下/ICU使用率が一定以下/成人人口のワクチン完全接種率が一定以上
クアラルンプール (KL)、プトラジャヤ (Putrajaya)、ラブアン (Labuan) 各連邦直轄領、セランゴール (Selangor)、ジョホール (Johor)、マラッカ (Melaka)、ネグリセンビラン (Negeri Sembilan)、トレンガヌ (Terengganu)、パハン (Pahang)、ペラ (Perak)、ペナン (Penang)、ケダ (Kedah)、ペルリス (Perlis)、サバ (Sabah) の各州
国家回復計画 (NRP) 第四段階の概要
※ SOPの詳細は随時更新される上に州やEMCOが適用された地区などにより内容が異なるため、常にお住まいの地域の最新情報をご確認ください。(本記事の情報は2021年10月16日時点)
「国家回復計画 (NRP)」のそれぞれの段階 (フェーズ) における制限等の詳細については、現地日本大使館による以下の情報をご参照ください。
「【新型コロナウイルス】ワクチン接種完了者への緩和措置」(2021年10月21日発出)
「【新型コロナウイルス】「国家回復計画」第一段階の規制(SOP)の詳細」(2021年8月5日発出)
「【新型コロナウイルス】「国家回復計画」第二段階の規制(SOP)の詳細」(2021年8月5日発出)
「【新型コロナウイルス】「国家回復計画」第三段階の規制(SOP)の詳細」(2021年8月5日発出)
経済活動
(2021年2月9日:追記) 接触歴の追跡のため各店舗入り口で行われている連絡先の申告ですが、インターネット環境があるところでは2月9日以降「MySejahtera」アプリの使用が義務付けられています。これまで手書きで申告していた方はご注意ください。
・営業時間を一部制限
・店内での飲食はワクチン接種完了者のみ許可 (SOPを遵守すること)
・スパ/マッサージの利用はワクチン接種完了者のみ許可 (SOPを遵守すること)
社会活動
スポーツ
・身体の接触を伴うスポーツ活動はワクチン接種完了者のみ許可
宗教活動
・宗教施設での活動は当局が定める制限に従う
移動
・州間移動はワクチン接種完了者のみ許可 (EMCOエリアは除く)
教育機関
・学校での授業を一部制限 (SOPを遵守すること)
情報収集が大切
完全ロックダウンを1か月続けたにも関わらず、新規感染者は5,000~6,000名で高止まり。国家回復計画 (NRP) を発表した際に「全国で4,000名を切らないと次の段階へは移行しない」と言い切っただけに、このままではいつまでたってもロックダウンを解除できないだろうと思われていたところ、政府は首都圏クランバレー地域の大部分を対象に外出をより厳しく制限するEMCO適用という手段に出ました。
逆に、比較的感染が落ち着いてきた地方は州ごとの状況を判断して次の段階へ移行して制限を緩和することに。ただ緩和された第二段階でも州間移動や地区間移動は禁止されたままなので、観光産業が回復するのはまだまだ先のことになりそうです。
首都圏では職場でのクラスターだけでなく、経路不明の散発的な感染も全域で見られています。長引くロックダウンに精神的にも疲れを感じる中、安全対策のガードを下げてしまう人もいるのでしょう。
当局の対応は(よくも悪くも)状況の変化に合わせてコロコロ変わります。自分の地域では現在どのような制限がかかっているのか、また近いうちに何らかの変更があるのかどうかなど、信頼できるソースに基づいた情報収集を常に怠らないようにしましょう。
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(編集後記):本記事では出来るだけ正確な情報をお伝えするよう努力していますが、制限や法令の内容は日々変化しています。重要な決定に際しては、必ず公的機関による最新情報をご確認ください。
(2021年5月5日)タイトル修正、記事加筆修正
(2021年7月5日)記事加筆修正
(2021年8月2日)タイトル・副見出し修正
[参考資料]
(2021年1月11日) MCO, CMCO, RMCO: Dos and don’ts. The New Straits Times. URL: https://www.nst.com.my/news/nation/2021/01/656469/mco-cmco-rmco-dos-and-donts (参照日:2021年1月11日)
(2021年1月12日) MCO standard operating procedures (SOPs): The dos and don’ts. The Star. URL: https://www.thestar.com.my/news/nation/2021/01/12/mco-standard-operating-procedures-sops-the-dos-and-don039ts (参照日:2021年1月12日)
(2021年1月11日)「【新型コロナウイルス】活動制限令(MCO)等の施行(1月13日から有効)」. 在マレーシア 日本国大使館. URL: https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_01112021.html (参照日:2021年1月12日)