コーヒーの品種ノートです。
ルイル11 (Ruiru 11)
由来: | カティモールと複数品種の人工交配種 |
豆のサイズ: | 大きい |
収穫量: | とても多い |
風味の質: | 良い |
初回収穫: | 2年目 |
さび病: | 耐性あり |
炭疽病: | 耐性高い |
線虫: | 耐性低い |
栽培適正標高: | 北緯5度~南緯5度:1,000m以上 北緯/南緯5度~15度:700m以上 北緯/南緯15度以上:400m以上 |
ルイル11の歴史
ルイル11は、SL-28やSL-34、K7、ルメ・スーダンなど複数の品種を掛け合わせたものをさらにカティモールと交配させて生まれた、ケニアで開発されたハイブリッド種です。1970年代、首都ナイロビからほど近いルイルというところにあるコーヒー研究所で品種開発が始まり、1985年に同研究所がある街の名にちなんでルイル11と名付けられたこの品種が発表されました。
ルイル11の最大の特長とも言えるのが、炭疽病 (CBD) への高い耐性です。そもそもこの品種の開発自体が、コーヒー栽培に大きな影響を与える病害への耐性種を作ることを目的に始められており、炭疽病に加えさび病への耐性も持つルイル11は狙い通りの特性を備えたと言えるでしょう。また初回収穫まで2年という短期間であること、そしてカティモールの遺伝子により高い収穫量と矮小種となったことにより栽培密度も高められることから、ルイル11は生産者にとって良いことづくめのように見えます。
SL-28やSL-34、またブルボンといった風味特性の良い品種の遺伝子が入っていることで、ルイル11は病害耐性だけではなく味も良好といえるレベルをキープしています。ただし、風味の点で高い評価を受けている品種等と比べると相対的に評価がやや低くなっているのは否めないところです。
ちなみに、ルイル11は栽培用の種子を得るため手間のかかる人工授粉を行わなければならず、栽培を希望する生産者に必要量を供給する上でこのことがネックとなっています。それでも、遺伝子の多様性が低いため一旦病気が流行すると全滅する可能性がある今日のコーヒー栽培において、病害への耐性を持つルイル11の価値というのは今後高まりこそすれ失われることはないでしょう。
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[参考資料]
World Coffee Research (2016). 「COFFEE VARIETIES of Mesoamerica and the Caribbean」, URL: https://worldcoffeeresearch.org/media/documents/Coffee_Varieties_of_Mesoamerica_and_the_Caribbean_20160609.pdf (参照日:2018年3月15日)
(2019年9月09日:テキスト修正)