コーヒーの品種ノートです。
スターマヤ (Starmaya)
由来: | マルセレサとエチオピア&スーダン在来種の人工交配種 |
豆のサイズ: | 大きい |
収穫量: | 多い |
風味の質: | とても良い |
初回収穫: | 2年目 |
さび病: | 耐性あり |
炭疽病: | 耐性不明 |
線虫: | 耐性不明 |
栽培適正標高: | 北緯5度~南緯5度:1,200~1,600m 北緯/南緯5度~15度:900~1,300m 北緯/南緯15度以上:700~1,000m |
スターマヤの歴史
スターマヤは系統としてF1ハイブリッドの一つですが、通常の栽培では子孫に遺伝情報が正確に引き継げないため人工授粉やクローン技術が必要となる他のF1品種とは異なり、種子により増やすことができるという特長を備えています。その理由は、親の片方に無花粉 (雄性不稔) の木を使って交配しているためです。このことにより、無花粉の木になる種子は100%の確率で両方の親の遺伝子をミックス (自分のめしべと相手の花粉で受粉) したものとなり、開発において意図した特長を備えた遺伝子を持つ子孫を安定して生産できるわけです。
マルセレサと同様、スターマヤもニカラグアにおいてフランス国際農業開発研究センター (CIRAD) と民間コーヒー商社であるECOMによって研究開発された品種です。2001年にニカラグア国内の農園において無花粉のエチオピアならびにスーダン在来種が発見され、これをベースにマルセレサとの人工交配が行われました。結果、さび病に耐性を持ちつつ良い風味特性を持つ品種が生まれスターマヤと名付けられました。
現在はまだ知名度が高いとは言えないスターマヤ。しかし、さび病への耐性、栽培しやすい小型化した矮小種であること、F1でありながら種子から増やせるため比較的低コストであること、2年という初回収穫の早さ、そして良好な風味という数々の特長を見ると、今後より多くの農園でスターマヤが導入されて目にする機会も増えると期待できるでしょう。
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[参考資料]
World Coffee Research (2016) 「COFFEE VARIETIES of Mesoamerica and the Caribbean」, URL: https://worldcoffeeresearch.org/media/documents/Coffee_Varieties_of_Mesoamerica_and_the_Caribbean_20160609.pdf (参照日:2018年3月15日)