コーヒーの品種ノートです。
ミビリジ (Mibirizi)
由来: | ティピカとブルボンの交配種? |
豆のサイズ: | 大きい |
収穫量: | 良好 |
風味の質: | 素晴らしい |
初回収穫: | 3年目 |
さび病: | 耐性なし |
炭疽病: | 耐性なし |
線虫: | 不明 |
栽培適正標高: | 北緯5度~南緯5度:1,600m以上 北緯/南緯5度~15度:1,300m以上 北緯/南緯15度以上:1,000m以上 |
ミビリジの歴史
あまり聞きなれないミビリジ (ミビリッチと呼ぶこともある) ですが、実はルワンダで最古の品種と言われており、同国と隣国ブルンジでは今でもコーヒー栽培において重要な地位を占めています。ミビリジはティピカ種から派生していることは分かっていますが、はっきりとした記録が残っていないためどのような経緯で今に至ったのか不明とされています。
元になったのは、第一次世界大戦までルワンダの宗主国であったドイツにより1910年代に中米グアテマラから持ち込まれた品種です。持ち込まれた当初、この品種は発祥となった国名そのものの「グアテマラ」と呼ばれていました。当時のグアテマラで栽培されていたのはすべてティピカ種だったことからも、ミビリジがティピカ由来の品種であることが分かっています。(最近の遺伝子検査でもこの種がティピカ系であることが確認されています)
1920年代になるとルワンダのカトリック宣教団によりこの品種が国内に広められ、後に品種名となったルワンダ西部のミビリジにも伝わります。このミビリジで栽培されていた種が、後に隣国コンゴ民主共和国にある遺伝情報保存センターで保管されることになりました。その後しばらくして、ケニアから持ち込まれたブルボン種である「フレンチミッション」と交配した可能性が高いと見られていますが、その辺りの正確な記録がないために現在のミビリジが交配種なのか、それともミビリジで栽培されていたものがそのまま今に至ったのか詳細が分からなくなっています。
ミビリジはティピカ由来だけあって風味が優れています。また、乾燥耐性を備えた強靭な品種のため、土壌がコーヒー栽培にベストの環境でなくてもとりあえず育つ特長があります。その一方でさび病などの病害には非常に弱く、とりわけ主にミビリジを栽培している小規模農園の生産者にとっては注意が必要なところです。
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[参考資料]
World Coffee Research (2016) 「COFFEE VARIETIES of Mesoamerica and the Caribbean」, URL: https://worldcoffeeresearch.org/media/documents/Coffee_Varieties_of_Mesoamerica_and_the_Caribbean_20160609.pdf (参照日:2018年3月15日)