マレーシア政府は頻繁にSOPや各種規制を変更しているため、本記事の内容と最新の規制が異なる可能性もありますのでご了承ください。詳細については、必ず政府機関や現地の日本大使館から常に最新の情報を入手するようになさってください。
経済ならびに社会活動における規制をさらに緩和した回復のための活動制限令 (Recovery MCO) が2020年6月10日より施行されていましたが、10月以降は感染拡大にともない各州で条件付き活動制限令 (Conditional MCO) が施行されたためRMCOを上書きする形になっていました。そんな中、政府の規制は徐々に感染抑え込みから経済活動の維持へとシフトしており、2021年1月1日以降のRMCO再延長と規制内容の一部変更が発表されました。
今後も内容は順次変更されるものと思われますが、現在明らかになっている点をベースに以前の記事を修正した内容をお伝えします。(注:サバ州は州独自のSOPを発表しているため、規制内容が異なる場合があります。)
Contents
RMCOの概要 (2021年3月11日時点)
RMCO適用状況 (2021年5月15日更新)
該当なし
ポイント
・公衆衛生におけるSOP
・人が集まる活動におけるSOP
・スポーツ活動におけるSOP
・経済セクターの再開
・国内移動の一部制限の継続
・国境管理の継続
経済活動
・SOP順守を条件に許可される業種:パブやナイトクラブ*を除くほぼ全て (*これらの場所もレストランとしては営業可)
・人数制限を含むSOP順守を条件に、会議やワークショップ、セミナー等を許可
・人数制限を含むSOP順守を条件に、展示会等のビジネスイベントを許可
社会/宗教活動
・人数制限を含むSOP順守を条件に、結婚式や食事会などの社交的な集まりを許可
・人数制限を含むSOP順守を条件に、礼拝などの宗教的な集まりを許可。
スポーツ
・人数制限を含むSOP順守を条件に、競技会や試合の開催を許可
・SOP順守を条件に、個人のスポーツ活動を許可
国内での移動
(2021年5月5日:追記) イスマイル・サブリ上級相は、RMCO対象地域間における移動許可を当面の間停止すると発表。(参考―The Star: “RMCO cross-border travel under domestic bubble suspended, says Ismail Sabri“)
・RMCO対象地域への移動を許可。ただし観光の場合、自家用車の使用は禁止 (観光業者が手配する乗り物に限る)
・EMCO対象地域への移動を原則禁止 (※ 警察の許可を受けた場合を除く)
国境管理
・マレーシア国民の観光目的での海外渡航を禁止
・外国人の観光目的での入国を禁止
スポンサーリンク
回復のための活動制限令 (RMCO) に関する疑問
RMCOにおいては経済・社会活動の制限がより緩和されることになりますが、それぞれの分野で政府が決定したSOPに従う必要があります。また、引き続き厳しい国境管理が継続され、海外からの入国者全員 (外交官等一部を除く) の政府指定施設における10日間の隔離*や外国人旅行客の入国禁止措置が続きます。(*出国直前にPCR検査を受けた場合は最短で7日間まで短縮)
2020年6月にRMCOが初めて施行された時は、感染拡大が明らかに抑えられていると感じられる状況下でしたが、それ以降は感染者数が大幅に減っているかどうかには関係なく実施されています。現在は医療機関の受け入れ態勢に若干の余裕が出てきたと見られますが、今後また状況が変化した場合は再び規制が厳しくなる可能性が高いでしょう。
政府は経済を守るため、よほど感染が拡大している局面でない限りは活動再開へと舵を切ります。感染の危険性が少なくなったために規制を緩和するわけではないという点は、しっかり意識しておきたいものです。今後も状況がコントロールされるまでは、自身が感染したり他人に感染させないための個々の努力が重要と言えるでしょう。
(2021年1月3日更新) マレーシア政府は、2020年8月1日以降特に人で混雑した公共の場所でのマスク着用を義務化しています。(参考―The Star: “Covid-19: Use of face masks in crowded public areas to be mandatory from Aug 1, says Ismail Sabri“)
Q. 就労ビザで入国できるのか?
(2020年9月8日更新) 日本とマレーシアの間で、必要な防疫措置を取りつつお互いの往来を再開する「レジデンストラック」が9月8日から開始されます。「ビジネストラック」については両政府間で現在調整中とのこと。詳しくは、外務省のホームページに掲載されている「国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について」をご参照ください。
入国の申請に際しては関係省庁からのサポートレターの取得や企業を通してマレーシア入国管理局に入国許可申請を送ること、事前のPCR検査で新型コロナウイルスの陰性証明を取得することなど数々の手続きが必要となっており、また申請したからといって自動的に承認されるわけではないようです。
さらに、長期ビザの種類ごとに入国の可否や必要な手続きがマレーシア当局により個別に設定されています。詳しくは現地日本大使館の情報「【新型コロナウイルス】駐在者等の入国手続(2021年3月3日更新)」をご参照ください。
(2021年1月3日更新) マレーシア政府は2020年9月7日以降、就労ビザやMM2H (セカンドホーム) ビザを含む長期ビザ保有者であってもインドネシア、フィリピン、インド、米国、ブラジル、フランス、英国、スペイン、イタリア、ドイツ、ロシアなど計23カ国に対して入国禁止措置を適用。基本的に感染者が15万人を超えている国を対象にしているとのことですが、イスマイル・サブリ上級相は今後さらに同様の入国禁止措置の対象国を追加する可能性についても言及しています。
※ 上記の入国禁止措置対象国からであっても、プロフェッショナルパスを持つ外国人、駐在員、マレーシア人を配偶者に持つ外国人、ならびに永住者は入国申請が認められるとのこと。(参考―The Star: “Entry ban relaxed on expats, professional visit pass-holders from 23 countries“)
Q. MM2Hビザで入国できるのか?
政府当局は5月17日以降MM2Hビザ保有者の再入国を認めると発表しています。しかし、再入国には指定の手順が必要となるので注意が必要です。詳しくは現地の日本大使館による情報「マレーシア・マイ・セカンド・ホーム(MM2H)パス保有者の再入国に係るガイドラインの改定(2020年10月6日更新)」をご参照ください。また、上の項目でも触れていますが、すべての入国者に10日間の強制隔離が適用されますのでご注意ください。
スポンサーリンク
まとめ
これまでと同じく、RMCOについては公衆衛生よりも経済を優先して実施している印象は否めません。マレーシア政府としては、感染拡大がスローダウンしている間に少しでも経済を回しておこうという狙いはあるはずです。2020年12月中旬から年末年始にかけてのRMCOの期間中、様々な業種でそれなりに稼げたおかげで生き延びた事業も少なくないと見られ、今回も数か月後に迫ったラマダン(断食月)に向けて様子を見ながら規制のバランスを取っていきたいところではないかと思います。
問題は、感染状況は改善していないにもかかわらず規制が緩和されていくことで、地元のマレーシア人の中で「新型コロナは大したことない」という雰囲気が非常に強くなってきていることです。いわゆる“コロナ疲れ”もあるでしょうし、ワクチンが利用可能になれば状況が改善するという期待もこうした状況に拍車をかけているのでしょう。一旦緩んでしまった警戒感というのは、ちょっとやそっとで元に戻るものではありません。
年末年始に大かけて大幅に人が移動した結果 全国で感染が急増し、1月中旬から約2か月の間 移動制限を伴う規制が必要となりました。極端に神経質になる必要はないとしても、現時点で一気にガードを下げるのは決して賢い選択とは言えません。周りに流されるのではなく、自分でしっかりとリスク判断して行動するよう意識しましょう。
[外務省・日本大使館関連 公式情報]は、当ブログ記事「【新型コロナ (COVID-19)】マレーシアの感染状況は?」に移動しました。
(編集後記):本記事では出来るだけ正確な情報をお伝えするよう努力していますが、制限や法令の内容は日々変化しています。重要な決定に際しては、必ず公的機関による最新情報をご確認ください。
(2020年10月13日:レイアウト修正)
(2021年1月3日:記事加筆修正)
(2021年3月11日:記事加筆修正)
[参考資料]
(2020年6月7日) 【新型コロナウイルス】条件付き活動制限令(CMCO)の終了及び回復のための活動制限令(RMCO)の発令について. 在マレーシア日本国大使館, URL: https://www.my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_05072020.html (参照日:2020年6月8日)